人生の余り道  (吹矢を楽しむ)

新しい矢の比較


2019年1月に吹矢公認用具取扱店「ワールド フキヤラボ」が新設され、矢(「W矢」と呼称)を売り出したので、従来の「ビッグサクセス」が販売していた矢(「B矢」と呼称)と比較した。W矢の特徴についてパンフレットでは次のように説明している。

@重量バランスを考慮した円錐状の特性ピンを使用

A軸固定チューブを挿入して軸のぶれを防止した


外見上の変化は先端部分の金属ピンが「球」から「円錐状で約2倍の長さ」になっており、太さはともに2.95ミリで同じだった。矢のフィルムはB矢と比べてW矢の方が柔らかく感じた。重さは、B矢は1本あたり平均0.83グラム、W矢は0.84グラムでほとんど変わらない。


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飛び方に最も影響すると思われる重心について考察する。

左の写真は、上からB矢のスカイブルー、ルビーレッド、W矢のネイビーであり、いずれも使用中の筒に適合するように12.85ミリにカットしてある。


定規の薄い側に乗せてバランスを測定したところ、a=8ミリ、b=3ミリであり、W矢の重心が最も前にある。つまり、先が重くなっている。


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重心の位置は矢の復元力に影響する。

B矢(ルビーレッド)とW矢とは重心Pの位置が3ミリずれているで、その復元力を検討したのが左図である。

矢が飛ぶ際の風圧は矢全体にかかって減速させるとともにぶれた時の復元力として作用する。

矢がぶれた時の復元力は、Pの後方のA(又はB)点にかかり、その大きさはPからの距離をそれぞれa又はbとすれば、B矢ではa×A、W矢ではb×Bとなる。風圧のAとBは同じと考えてよいから、bB>aAとなって、W矢の方が復元力が高いといえる。


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"復元力が高い"ことは、"狙ったところ"に"吹いたとおり"に忠実に矢が飛んでゆくことを意味する。しかし、誤解してはならないのは、"よく中る"との意味では決してない。

この写真は以前New矢が売り出された2012年頃に旧矢と比較したものだが、先端に釘を挿入していた旧矢の重心はB矢(スカイブルー)よりもさらに後ろにある。

旧矢もB矢も、実際に吹いた時の感触では特に旧矢が中らないとは思わなかったが、安定感はNew矢の方が優れていると感じたので、その後はNew矢を使うようになった。


回転するコマが倒れないのは回転することにより軸が鉛直(重力の方向)に維持されるからであり、一方サッカーでは、本田選手の"無回転弾"が微妙にぶれるためゴールキーパーの脅威となっている。吹矢では、筒を出た矢は無回転で飛ぶので必ずぶれる。しかし、そのぶれ具合は前述のとおり、復元力が働いて重心が先方にあるほど小さい。


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左の図で説明すると、共に正確にA点を狙って全く同じ力で吹いたとすると、ぶれの小さい矢(黄色)は5点圏に中るが、ぶれの大きい矢(青色)は殆どが5点圏ではあるとしても7点圏にも中る可能性もある。


説明のために矢のぶれを大きな円で示したが、実際にはこれほどの大きくはないものの、矢の種類によって僅かではあるが異なるぶれ方をすることを前提に、練度、目的に応じて矢を選択することも必要(楽しみ)となる。

実際には、命中するかしないかについては、例えば矢切りが適切か、狙いは良いか、吹く力は同じかなど矢以外の要因の方が大きく影響すると考える。


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