人生の余り道  (吹矢を楽しむ)

第9回 青柳杯で優勝


7月16日(木)、第9回青柳杯が墨田区総合体育館で、去る6月27日に亡くなられた故青柳協会理事長の「追悼大会」として、全国から約600名の3段以上の高段者が参加して行われた。


私にとって、昨年十分な成績を挙げられなかった反省を踏まえて、1年間準備した成果を試す大会でもあり、この日を楽しみにしていた。結果は思っていた以上に順調で楽しく吹くことができて、幸い優勝することができた。

この1年間特に意識して練習したことをまとめる。

初心に帰える

吹矢を始めた頃は良く当たっていたのだから、初心に帰る気持ちで、助言を受けて修正したことを元に戻して吹くようにした。その最大のものが、「筒上げ」の動作で、綺麗に見えるために筒をスッと口元まで上げるようにしたのを、元に戻してやや高めに上げたのちに口元に持ってくるようにした。私の場合、筒をスッと上げると吸い込む空気の量が一定になりにくいようで、やや高めにあげることで吸い込み量を一定に保つことができたのだと気付いたからだ。


「吹矢」というとつい吹くことに意識が向きがちであるが、「吹矢」は実は「吸矢」といってよいほどに「吸うこと」が大切で、正に呼吸、「吹矢」と「吸矢」を合わせて一本だと思う。いくら一定の力で吹いたとしても、腹に入っている空気の量が異なっていれば出る力も異なってくるのだから。

狙う位置の修正

家の練習と体育館などの練習で狙う位置が異なることについては、原因はいまだに見いだせていないが、結論として、家の練習では中央の7点圏に当たらなくてもよいことにした。つまり、家の練習でも体育館と同じ狙いで吹いて、当たるところが一定の位置(下側の5点圏と3点圏の接際部付近)になれば、体育館では中央に当たることになる。このことによって、家用と体育館用の二つの狙い方を練習する必要がなくなり、家の練習がそのまま競技会などでの命中率の向上につながるようになった。

気持ちの持ち方

今回の大会では周囲のことがほとんど気にならなかった。「当たるだろうか?」「外れたらどうしようか?」などのマイナス思考もほとんどなく、とても気持ち良く楽しく吹けたように思う。これについては気持ちの持ち方が問題なのだからと座禅なども考えたが、結局特別な"修行"や吹き方を模索するのではなく、吹矢の練習の中で何かを見つけ出すことが良いと考えた。


そこで、吹矢の8つの基本動作のそれぞれの動作一つひとつを確実に、納得しつつ日々の練習を重ねることにした。例えば、周囲の状況が気になるのは「筒を上げる」時、当たるだろうかと不安になるのは「狙う」時といった状況なので、8つの基本動作のそれぞれに自分なりに意味づけをして、その動作では常にそのことを意識する、これを繰り返すことで他の雑念が入り込む余地がないように習慣づけをした。


更に、機会を求めて他支部の練習に参加させてもらい、あるいは他の支部の方に練習に来てもらい、普段と異なった環境で、普段と異なった人たちの注目を受ける中で練習することによって、他人の目を意識しない気持ちを養い、最終的には、「練習以上の成果が出ることはない」のだから、「普段どおり」できればよい、と気持ちを吹っ切ってやるように努めた。

身体的衰えの対策

視力の衰えは眼鏡をかけても以前ほどには回復していないので、的がはっきり見えないことを前提に、筒とボヤっと見える的との位置関係が常に同じになるように見出して吹くようにしている。しかし、白内障で明暗がわかりにくくなっていることについては、眼医者の「まだ早い」とのアドバイスをうけて当面この状態を維持する。また、大切な腹筋が衰えないよう毎日腹筋運動で鍛えるとともに、自己流の呼吸法を実行している。

これからも加齢による衰えが次々と出てくるだろうが、その都度良い方法を考えていこうと思う。


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