人生の余り道  (吹矢を楽しむ)

第2回 全日本選手権大会 (矢の選択について)


矢の準備

矢の準備・選定にはいつもとても神経を使う。

競技会を控えた約1か月前からは、できるだけ競技会と同じ条件で練習したいと考えて、使用する矢は全て新しく準備したものを使用している。この時期の練習は、最良の矢でいつも同じところを狙い、同じ力で吹いて「必ず当たる」というイメージを自分に思い込ませることが大切だと考えている。


矢の展開状況

矢の展開状況

写真Aの矢が最初に準備した20本。練習の間に重ね矢などで使えなくなる矢が増えれば、改めて20本矢切りする予定だったが、重ね矢で傷つく前に思わぬところに飛ぶ矢(不期矢)が断続的に出た。競技会で1本でも不期矢が出てしまったら負けにつながる。先日のブロック競技会では第1ラウンドで1点圏に当たってしまったが、今度の大会では絶対に避けなければならない。


そこで2週間ぐらい後に写真Bの20本を新たに矢切りした。しかし、これも全く同じ状況だ。重ね矢による矢の痛みもなかったが、止むを得ず競技会の3日前に更に20本切った。今回切った60本は全般的には良く当たり、その点では申し分ない状態だったが、絶対に避けたい不期矢が時折出てしまう。その矢を外しても残りの矢からまた不期矢が出るので、矢に対する信頼感につながらない。不期矢の頻度は2〜3日に1本ぐらいだが、これだけ不期矢が出るとどうしても競技会に使用する気にはならない。異なる時期に矢切りした矢は混ぜては使わないので、結局Cの中から競技会前日の練習結果とフィルムの接着部分の浮き上がりが小さい矢8本を選んで競技会用とし、不安だったので予備として練習矢の中で最も信頼のあるDを携行することにした。

当日の状況

矢の剥離

競技会用の矢に剥離が!

会場に到着して道具を取り出して驚いた。

使う予定だった矢のフィフム接着部が剥がれている。しかも8本中2本も。前日に細心の注意で選んだ矢だ。間違いなく異常はなかった。浮き上がっているのは2本だが、こんな状況では他の矢も競技会の最中に剥がれてしまう可能性がある。折角準備した競技会用の矢であるが、諦めて予備の矢を使うことにした。しかし、矢に対する信頼感は失ってしまった。


そんな状態で臨んだトライアル3本、2本は命中したが3本目が上3点圏に当たった。不安を引きずったままの第1ラウンドでは2本が上5点圏に外れた。続く第2ラウンドでは1本目が上3点圏に飛んだ。全体に上に飛んでいる。そこで狙いを下げたところ今度は下5点圏に当たった。競技会では力が入りがちだと承知していたはずなのに、それ以降は矢が外れる度に狙いを変えてしまった。最も戒めていたにも拘らず度々狙いを変えてしまい、かつ心理的動揺もあって吹く力もばらばらになってしまった。


不期矢について

以前から時折「不期矢」が出ていたので、いかに防止するかが課題であった。

いろいろ試した。最初のころは吹く力を矢に伝えるため筒に対して強めに切っていたが、勢いのよい矢は返って埃など微細なものの影響を強く受けてしまうと考えて、次第に緩く切るようになり、現在はほとんど抵抗を受けることなくストンと矢が落ちるくらい緩く切っている。前よりは不期矢は少なくなっていると感じているが、まだ収まってはいない。狙いも吹く力も決して悪いと思わないときでも不期矢になることがある。


矢だけが原因とは思わないが、原因となりうることはどんなことでも避けなければならない。最近のNew矢は接着部分の浮き上がりが目立つ。 矢切りで切った時の切断面は、この浮き上がりの微妙な突起によって真円にはならない。それが不期矢につながっているとも考えられる。


また、切り口に近い所で剥がれると、矢抜きを強く差し込むと切り口が広がってしまうし、弱い場合は添えた指によって狭く貼り付いてしまうことがある。 気づかずに次に吹いてとんでもない所に飛んだことが実際にあった。中央部であっても剥がれやすい矢は、切り口近くも剥がれ易くなっているはずだ。


矢の比較

矢の比較

矢の比較

写真は、左からNew矢スカイブルー(A)、同じくルビーレッド(B)、旧矢(C)をほぼ同じ太さの部分を切断して展開した。

XYZはそれぞれの接着幅である。AとBはフィルム部分に直接接着剤が塗ってあり、その幅(量)はAは4ミリ、Bは6ミリでBの方が広い。Cはフィルムの透明部分Pの幅3ミリに接着剤が塗ってある。

フィルム全体の幅は、AとBは同じ41ミリ、Cは60ミリとなっている。このことから、触った感触がNew矢に比べて旧矢が固く感じるのは、素材によるのではなく、巻いてあるフィルムの量が多いからである。


AとBでは幅は同じなのに、なぜBの方に多くの接着剤が塗布されているのか不明であるが、これまでの経験ではルビーレッドの剥がれは認められず、今回も練習矢では最も信頼性があったので予備の矢にしたことなどを考えると、不期矢の原因と予想している剥がれを避けるためにはBがよいと思われる。


また、本論でも書いたが、旧矢よりもNew矢の方が安定し飛ぶと考えているが、これまでの練習では旧矢に剥がれが起きたことは経験していないし、矢がしっかりしていること、フィルムの剥がれが少ないことを考えると、不期矢を避けるためには旧矢も使用する価値があると思う。


感想

帰宅してから競技会用に準備した矢で練習したところ、よく当たったし不期矢もとりあえずは出なかった。皆さんほぼ同じ条件の道具を使用しているのだから、あまり神経質になる必要はない。むしろ矢を気にしすぎることの精神的な影響の方を避けるべきなのかもしれない。


しかし、大雑把なデータだが、不期矢の頻度は大体300〜400回に1回ぐらい起きている。矢は手作りなので300本に1本なら止むを得ないといえるが、実際はどんな矢でも繰り返して吹けばいつかはとんでもない所に当たる可能性がある。  当たると思っていた矢が次には不期矢になる可能性はないとも言い切れない。したがって、今後とも自分なりに不期矢が出ない方法を探っていきたいと考えている。


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