人生の余り道  (時の足跡)

TENET テネット

◆スタッフ

監督・脚本: クリストファー・ノーラン

キャスト : ジョン・デビッド・ワシントン : 名もなき男

    ロバート・パティンソン:ニール

    エリザベス・デビッキ :キャット

    ケネス・ブラナー   :セイター

◆あらすじ
TENETテネット

「名もなき男」はCIAの特殊部隊員として、ウクライナのオペラハウスで起きたテロの鎮圧作戦に参加した。テロリストに捕らえられて尋問を受けたが、機密情報を漏らす前に毒薬の入ったカプセルを飲み込んだ。


しかしそのカプセルは忠誠心を試すため鎮静剤にすり替えられていた。彼は試験に合格、時間逆行装置を知らされ、キーワード「TENET(テネット)」を頼りに"世界を救う"ミッションを与えられた。


「名もなき男」は相棒となるニールと合流し、核心人物・ロシアの武器商人セイターに近づくためセイターと不仲な妻キャットに接触した。膵臓がんで余命いくばくもないセイターは、「アルゴリズム」を使って時間を逆行させて地球を破壊することを考えていた。


「アルゴリズム」は未来の科学者によって開発され、9つに分解されて隠されていたが、セイターは既に8つを手に入れていた。「名もなき男」は、最後の一つである「プルトニウム241」を手に入れたセイターからそれを奪還したが、時間を逆行してきたセイターに再び奪われ、キャットも撃たれて負傷してしまった。


セイターは出身地であるスタルスク12で、自分が死んだ時に「アルゴリズム」が起動するように設定した。「TENET」チームは地球を救うため、「アルゴリズム」の9つのピース全てを奪還するためスタルスク12を攻撃した。


同じ時、キャットはよりを戻すふりをしてセイターに近づき、スタルスク12での作戦が成功した直後に、自らの手でセイターを殺す計画だったが、我慢できずに作戦成功の連絡が入る前にセイターを殺してしまった。


スタルスク12では、「アルゴリズム」を起動させようとするセイター一味と、「TENET」チームが激しい戦いがくり広げていた。「名もなき男」は地下トンネルに侵入してセットされた時間ギリギリに辛くも「アルゴリズム」を奪うことに成功し、トンネルを脱出した。


作戦を成功させた「名もなき男」たちは、再び「アルゴリズム」をバラバラにして隠すことにした。別れ際、「名もなき男」はニールに誰に命じられて自分を助けてくれたのかと訊いたところ、ニールは笑みを浮かべて、それは未来の「名もなき男」からであることを明かして去った。


◆感 想

本作品はかなり難解で1回では理解できないので再度鑑賞するか、前もって解説を読んだほうが良いと聞いていたので、ネットである程度の予備知識を得た上で見に行った。


脚本の最大の特徴は、「時間逆行装置」にある。時間が順行する赤の部屋と、逆行する青の部屋があり、肺が機能しなくなるので酸素マスクを着用するなどの一定の条件でその機能が発揮されるようになっている。


前半は、ストーリーやいろいろなトリックを見逃さないよう緊張して見ていたが、逆行装置が良く理解できない「名もなき男」に対してニールが「気楽に考えればよい」と説明する場面があり、何となくホッとしてそれ以降は緊張せずに楽に鑑賞するようになった。


すると、本作品のトリックが良く理解できるようになった。

アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画「ターミネーター」では、近未来のスカイネットからワープしてきた暗殺者から、将来の地球指導者になる少年ジョン・コナーを生む母親をターミネーターが守るというストーリーで、時間を逆行するのが暗殺者のみだったからとても解りやすかった。


本作品では、敵と味方の双方が時間の逆行と順行ができる複雑な設定になっているが、監督の仕組んだトリックどおりに見る必要はないので、単純化して敵と味方の区分を間違えずに見れば理解しやすい。


前半で「名もなき男」が地球を救うミッションが与えられると、いつの間にかニールが現れて協力するようになっていたのが不思議だったが、作品の最後の場面で、そのことを「名もなき男」が訊ねるとニールは笑顔を浮かべて真相を告げた。


この筋書きも、「名もなき男」が「ターミネーター」におけるジョン・コナーだと考えればすっきりする。


週末を避けて月曜日に見に行った。本作品は、367名というシネプレックス最大のスクリーンで上映されていたが、客は2名のみ。映画館、劇場は入場枠が緩和されたとはいえ未だに敬遠する雰囲気があるが、検温、マスク着用、換気などが行われており、街中や観光地の混雑に比べれば格段に安全だと思う。


2020.10.12観賞

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