人生の余り道  (時の足跡)

野生の呼び声

◆スタッフ

監  督 : クリス・サンダース

原  作 : ジャック・ロンドン

脚  本 : マイケル・グリーン

キャスト : ハリソン・フォード : ソーントン

    ダン・スティーヴンス : ハル

    オマール・シー    : ペロー

◆あらすじ
野生の呼ぶ声

カリフォルニア州のこと、ある日、雑種で大型犬のバックは男たちにさらわれ、カナダで郵便配達員のペローに売られた。そり犬として働かされたバックは、チームメイト犬と仲良くなったが、逆にリーダー犬の恨みを買った。リーダーとの争いに勝ったバックが代わって先導犬となり、優れたリーダーシップを発揮した。


電信が発達したため郵便配達の仕事が無くなり、バックたちは金鉱を探すハルらの三人組に買われ、アラスカに連れていかれた。ハルたちは北の荒野での経験が少なく、雪解け間近な時期に奥地に入ろうとしたが、バック等は疲労困憊で動けない。


その様子を見た初老のソーントンは、雪解けは危険だと警告したが、ハルたちは無視して進もうとした。氷が割れそうだと察したバックが動けない振りをすると、怒ったハルが棍棒で殴ったので、ソーントンが助けだした。出発した一行は氷が割れて沈み、ハルだけが生き残り犬たちは死んだ。


ソーントンは、幼くして死んだ息子が夢に見ていた「聖地」に行くため、元気になったバックと共に奥地に向かった。人跡未踏の大自然の中に廃墟のような小屋を見つけて住みついた。バックはオオカミに出会い次第に野性に目覚めていき、ソーントンは近くの川で偶然にも金を見つけた。


ある日、遅くなってバックが森から戻ると、追跡してきたハルによって小屋が焼かれソーントンが撃たれて倒れていた。バックはハルを焼け落ちる小屋に追い込み殺した。バックはソーントンを介抱したが、やがて死んだことを理解した。


バックは、迎えに来た狼と共に群れに戻り、やがて知恵と強さで狼の群れのリーダーになって、2匹の子犬に恵まれ大自然の中で幸せな日々を送った。

◆感 想

原作はアメリカを代表する作家ジャック・ロンドンによる同名小説で、アメリカでは幼い頃には誰もが一度は読む名作だという。これまでに度々映画化されていたが、撮影技術が進歩したため本作品で初めて完全実写化が実現したという。


まずは、スクリーンに広がる雄大な雪山や凍結した川など、息を飲むほどの迫力あるアラスカの大自然が素晴らしい。フルCGで創出されたバックの表情や仕草が可愛らしく、雪崩に向かって勇猛果敢に突っ込んでいくダイナミックなアクションも大きな見どころになっている。


バックの動きは、シルク・ドゥ・ソレイユの元メンバーが生身の体で演じ、それを後からCGに置き換えているという。生まれて初めて氷の大地を踏む時のおっかなびっくりの表情や、降りしきる雪を見て無邪気に跳ね回る姿など、バックの一挙手一投足には可愛さが満ち満ちている。


ソーントンに助けられたバックが、息子を亡くして世捨て人のようなソーントンを何とか元気づけようとする様子が微笑ましい。アドベンチャー映画で定評のあるハリソン・フォードとの絶妙なコンビで、バックが「野生の呼び声」に導かれて「野生」に目覚めていく様子がとても自然に描かれている。


私たち映画ファンにとって親しみのある「20世紀フォックス」は、20世紀になってもその名称は維持されていた。しかし、最近ウォルト・ディズニーに買収されたため、名前が「20世紀スタジオ」に変わり、その最初の作品が「野生の呼び声」という。映画のオープニングロゴは、「フォックス」はカットされたが親しまれた渦巻くライトやファンファーレはそのまま残されている。


2020.03.23観賞

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