人生の余り道  (時の足跡)

フライト


スタッフ

監督:ロバート・ゼメキス

主演:デンゼル・ワシントン(ウィップ・ウィトカー:事故機の機長)

事故調査委員会

フライト

病院に収容された機長が意識を回復して最初に面会したのは「事故調査委員会」の担当者だった。例え親族であろうと、それ以外の人との面会は禁じられている。事故当事者が報道を見たり近親者たちと面談すると、事故に対する純粋な記憶・考えが変わってしまう。正確に事故を検証して教訓を導き出すには必須の処置であって、こうした場面が極めて自然に描かれていることに驚いた。


日本ではこうした処置が行われていない。そのような制度も確立していない。先般のアルジェリアで起きたイスラム勢力による襲撃事件で救出された人たちに対して、まず会社関係者と家族が面会した。会社側の配慮で個人情報を明かさなかったので、マスコミの怒涛の取材攻勢に晒されることはなかったが、事件の真相解明の厳格な手順は取られなかった。事件の検証もうやむやになってしまうのだろう。


真の責任は

死者が出た以上責任の所在を明確にしなければならない。責任者として挙げられたのが、航空会社、機体製造会社それに機長だった。当初は、原因は機体に異常があったにもかかわらず、機長が優秀な技量で多くの命を救ったと評価されていた。ところが血液検査でアルコールが検出されたことから、機長の責任が問われることになった。


本来なら機体の不具合も追及しなければならなかったが、「犯人」が見つかったことで他の全てが免罪されてしまった。一種の「魔女狩り」に似て、日常生活の中でもよくあることだと思った。


思わぬ影響

映画の中でデンゼル・ワシントン演じる機長がアルコールを飲んでいる場面が頻繁に描かれる。フライト前に多くの酒やビールを飲む場面が頻繁に登場するので、バドワイザー側が「商品の間違った使い方を見過ごすことはできない」として、映画配給会社に「バドワイザーの映像をすべてぼかす」よう抗議している。作中ではなく、現実の話である。映画がヒットすると思わぬ影響が出るものだ。


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