人生の余り道  (吹矢を楽しむ)

第7回全日本選手権大会で優勝


平成30年11月8日(木)、墨田区総合体育館で「第7回スポーツ吹矢全日本選手権大会」が行われた。本年最後の大きな大会で、全国から約750名の有段者が参加して、選抜部門(地方大会等の上位者)と公募部門の2つの部門に分かれて、平素の練習の成果を競った。


各部門が、10メートルと8メートルの男女別クラスと80歳以上の混合組の合計5つのクラスに分かれ、私は公募部門の10メートルに参加した。予選は6ラウンドで戦われ、1ラウンド35点で合計210点満点となり、上位5名が決勝戦に進出する。決勝戦は1ラウンドの得点と基本動作点40点の合計75点で、予選ラウンドの持ち点との合計で勝負が決まる。近年はとてもレベルが上がっているので、予選通過は200点がらみの点になると予想していた。


ところで、私はここ数年スランプ状態にある。得点の上下が激しく安定感を欠いており、一向に明るさが見えない。4本命中しても最後の1本になると「今度は外れる」と思い、最初の1本が外れれば「やっぱりか」と思ってしまう。常に「外れたらどうしよう」「これでいいのかな」といった『不安』が脳裏を駆け巡る。いくら練習しても、以前は出来たことが次第に出来なくなっていく。やはり老化には抗いようがないのかな、とさえ思ってしまう。


でも、自宅の練習ではよく中る。十分に予選通過の点数は取れていたので、自信も芽生えてきていた。大会前日の支部練習では、「予選通過」間違いなしと気負い込んで臨んだが、結果はいつもより悪かった。「明日の大会もまたダメか、参加しなければよかったかなぁー」などと諦めの気分だった。


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そして大会当日、気負いがなかったせいか順番を待つ間もあまり緊張しなかった。試矢3本が命中した。あれ、調子いいのかな? しかし、第1ラウンドは初矢と第2矢が外れた。「あッ、やっぱりダメか」と思った途端になぜか力が抜けてとても楽になり、その後の3本は命中した。2ラウンド以降は、緊張することも雑念が頭を駆け巡ることもなかった。後ろで見物する人も全く気にならない。淡々と冷静に吹いて、3と4ラウンドは満点、その他のラウンドは4本命中で合計200点となった。決勝戦も比較的落ち着いて吹くことができ、幸い優勝することができた。


スポーツ吹矢は、的中数を競って優劣を決めるが、基本的には他者が相手ではなく自分と向き合い、自分自身が相手であると考えている。吹くという『人力を動力』として矢を飛ばすので、ものに動じない安定した心理状態を維持して集中しなければならない、と頭ではわかっている。でも、「気にするな」「集中しろ」と思ってもできるものでもない。今回は気負いが消えて平常心を保つことができたが、これで解決したことにはならないだろう。


スポーツ吹矢協会の教えでは、「個々の基本動作に集中して、動作と呼吸を連動させて滑らかなリズムを作り出すことによって、雑念や周囲の環境から影響を受けない心理状態を作り出す」とある。「集中」は言うは易く、行うは極めて難しい。しかし、この教え以外には答えはないのだろう。何度も何度も練習して「今やっている動作だけに集中できる」自分を作り上げるしかないのであろう。


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