人生の余り道  (吹矢を楽しむ)

「ねらう」こと(射撃編)

1 「ねらう」ことの基本

「ねらう」とは、銃身軸の延長線上に目標を見定めることである。

通常、銃は安全装置の関係で右に構えるようにできており、右目で狙う。

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(左) 小銃は、右目で照門の直径約3ミリの小さな穴を通して、銃の先端にある照星上に目標を見通す。


(右) 拳銃は、手前の照門は凹型、先の照星は凸型になっているので、右目で照門の凹型の中央に照星を見出してその延長線上に目標を見通す。

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高さについては、拳銃は射距離が短いので高さの修正はほとんど必要ない。しかし、小銃は射距離が長いため、予め照準具で照門を射距離に応じた高さの目盛りに合わせた上で、試射をして目標の中心に弾が当たるよう調整しておく必要がある。

2 正確なねらい

ねらう場合の照門、照星、的の関係は、次の3通りに大別できる。

正確なねらい

A : 照門と照星の左右の間隙が等しくなるように見出して、照星上に的の中心を置いている。この場合、銃身軸と的を見通す線が一致するので的中する。


B : 照門と照星の左右の間隙は等しいが、銃身軸と的を見通す線が平行にずれている。この場合、射距離にかかわりなく的線とずれた分だけ的の中心を外れる。


C : 照門と照星の左右の間隙にズレがある。この場合、照門の中央に的を見出したとしても銃身軸と的線が斜向しているので、射距離が延びるに従い大きく的を外れる。

3 目の焦点の合わせ方

目の焦点は1点にしか合わせることはできない。照門に焦点を合わせることはないので、照星か的のいずれに焦点を置いた場合に、上記で述べたAの状態でねらうことができるか、検討する。

ねらい方.png(28812 byte)

図右 : 的に焦点を合わせると、手前の照門と照星がボンヤリするので、その位置関係が見分け難くなり、照星がずれていても判別できない恐れが高くなる。

図中 : 照星に焦点を合わせれば、照門も的も少しボンヤリするが、照門と照星のズレがよく判別できるので、修正が容易になり正しい照準(図左)ができる。

例えば、腕の長さ70p、拳銃の照門と照星の間隔が15pで10m先の的をねらった場合、照門と照星が1mmズレても的では約6pのズレになる。0.1mmのズレが的では0.6pズレる。正確な射撃のためには、照星に意識を集中して照門と照星を正しい位置関係に置くことが極めて重要である。

3 ねらう時の両目の役割り

射撃は右目でねらう。この時、右目に意識を集中することは当然だが、左目は閉じることなくより広い範囲を"それとなく"見ることが重要である。左目をつぶると視野が狭くなって安心感、安定感を失いやすく、特に緊張する場面では射撃精度に悪影響を及ぼす。また、左目をつぶることで無駄な筋肉を使い、長時間の射撃では疲労感が増し、瞼が痙攣を起こす恐れが生じる。

参考:国体等の競技では、エアピストルでは60発を1時間15分で、ライフル(男子)では120発を3時間で撃ち、マラソン射撃と言われている。

エアーピストル

射撃練習の様子 YouTube

左の写真は、オリンピック選手の練習の様子で、最高度に正確さが要求される射撃でも両目を開けてねらっている様子が分かる。一方で、左目の前にはすりガラスを置いており、ねらっているのは右目であることも明らかである。

世界で戦う選手であるからこそ、正確な射撃を実現するため、ねらうことと安心感・安定感を得ることを両立させるために、両方の眼を開けつつも左右の目が異なる役割を果たせるように意識して練習している。


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