今年の夏は例年以上に暑いといわれている。糖尿病対策のため年に一度は長距離の「歩き旅」をしたいし、夏に大汗をかくことは冬の風邪防止にも役に立つ。ただし、知らないところを何日も歩くのは、年齢的、体力的に心配なので、例年どおり富士五湖周遊の歩き旅とした。 日々のウォーキングは、約10キロのコースを週に3〜4回は歩いている。また、直前には実際と同じ装具をつけて1日歩き、テントを展張して装具点検も行った。
期 間 : 平成28年8月4日(木)〜8月11日(木) (7泊8日)
距 離 : 約180キロメートル
コース : 富士山の麓を一周
御殿場→山中湖(2泊)→河口湖→西湖→本栖湖→田貫湖→愛鷹山麓→御殿場
過去の歩き旅 富士周遊歩き旅(2014年) 富士周遊歩き旅(2015年)
以下、実施に当たって留意したこと、気づいたことについて
御殿場駅前
・富士吉田浅間神社でおみくじを引いたところ「小吉」で、「自分の力を過信する心には失敗の因が潜んでいる。」とあり、「旅行は避けたほうが良い」とあったので、無理せずに慎重に対処することを心掛けた。
・御殿場の8月はお祭りの季節。今年は特に8月11日が国民の休日「山の日」として初めて施行されたので、駅前では各種の催しが行われ、ボランティアによる案内、通路の霧散布、足水、休憩所の運営などで賑わっていた。
・第1日目は、御殿場から須走まで歩いた後、須走から山中湖までの最も厳しい籠坂峠越えはバスを利用した。また、第1日目と2日目を同じ山中湖のキャンプ場で過ごし、避暑気分を味わいながらのんびりキャンプを楽しんだ。更に、朝は早く出発して涼しいうちに歩き、昼過ぎには次のキャンプ地に着くように計画して、ゆっくり半日を過ごすことにした。
・驚いた、こんな山の中にもポケモンが押し寄せていた。須走浅間神社で昼食休憩したところ、幼子を連れた若い母親、大学生ぐらいの子供と一緒の母親、父子連れ、おじさん、青年、女性グループなどが次々と訪れてスマホとにらめっこ、指先を機敏に跳ね上げてポケモンを狙っていた。
・河口湖でも北原ミュージアムやバス停周辺でスマホとにらめっこしている若者達が見られたし、いくつかのキャンプ場でもご主人がキャンプの設営、奥様はスマホに夢中(ポケモンかは不明)といった光景が珍しくなかった。
・河口湖のキャンプ場で隣の人に挨拶したところ言葉が通じない。当然日本人かと思ったのだが中国系の家族であった。反対隣りは小さな子供4人を連れた黒人の家族、英語を話していたのでアメリカ人だろう。富士山は有名な観光地なので外国人に会うことはこれまでも頻繁にあったが、逐次国際色豊かなキャンプ場に変身してきている。
・観光地によって外国人の特徴が異なっている。忍野八海は宿泊なしのバスの団体客で中国、台湾など東南アジアの人々が圧倒的に多く、皆さん声が大きくとても賑やかである。一方、山中湖や河口湖などのリゾート地では欧米人が目立つが、昨年から中国系の人がとても増えているように感じた。
燦々と輝く日の出(田貫湖)
・東側から見る富士は雲がかかっていることが多かったが、本栖湖〜朝霧高原など西側に来ると雲に邪魔されないきれいな富士山が見られることが多い。
・本栖湖からの富士山は、1000円札の裏に印刷されているほどに美しいが、今回は残念ながら靄がかかっていた。しかし、外国人にも絶好のビューポイントとして知られているようで、ご婦人が頭から薄い布(ヒジャブ)を被ったまま湖に入っている東南アジア系と思われる家族がキャンプしていた。
・この時期、連日猛暑の天気予報が出されていたが、富士五湖周辺ではとても涼しい。朝晩は18℃のこともありむしろ寒いといえる。夏用のシュラフでは寒いので持てる下着類を全て着込んだがそれでも寒い。そこでテントのカバーを展張せずに体に巻いて、ようやく寒さをしのいだ。
・日中は、道路わきの気温表示では28℃となっていたが、アスファルトの照り返しがあるので体感的には40度以上になっていると感じた。風があれば暑さがまぎれるが、無風の中で登り坂を歩く時はさすがに暑い。7日目、田貫湖から御殿場方面に歩いた時は、上り坂の連続で後頭部に日差しを浴びたため疲労困憊し、常なら1時間で歩く5キロが3回の大休止を要して2時間半もかかった。これまでできたことが確実にできなくなって、「老い」を痛感した瞬間だった。
・文明の利器である自動車がビュンビュンと脇を走り抜ける時に、一歩一歩進む自分自身の非力さを感じるが故か、足元に映る小さな生き物がとても愛しく見える。いくら疲れていようとアリが目に留まれば踏まぬよう避けて通る。小さな蛇が深い側溝に落ちてなかなか抜け出せなければ枝を添えて出してやろうとする。(蛇のほうは危険と思って逃げ回っているが------。)
・たくさんの黒アゲハが夏の短い命を終えて路上に横たわっている。藪に移してあげようとしたがすでに動かない。7日目に疲労困憊して脇道で大の字になって休憩した時、脱いだシャツに黒アゲハがとまって汗を吸おうとしている。伸ばした口が布を通らないので、アブに刺されるよりいいと思って「おい、こっちだぞ」と言って腕を出したが、当然わかるはずがない。
・草原の東屋でキャンプした時、夜中にガサゴソ音がする。テントを出ると「ケーン、ケーン」と叫びながら何かが動きまわっている。姿は見えないが鳴き声から恐らくキツネだろう。相手は逃げる様子を見せず場所を頻繁に移動しながら「ケーン」と鳴いている。こちらが声をかけるとキツネも応じてくれたので通じない会話をしばし楽しんだ。