人生の余り道 (歩くを楽しむ)


いよいよ暑い夏がやってきた。今年も恒例の歩き旅を計画した。これまで行ったことのない場所に行きたいとも思ったが年齢のことを考えて自重し、これまでに2度行ったことがあり、キャンプ場が沢山あって様子がわかる富士五湖周辺を歩くことにした。


期間は、平成27年7月29日(水)〜8月6日(木)の9日間、歩くにあたっての条件は2つ、@テント泊 A距離200キロ以上 とした。


昨年の富士五湖周遊歩き旅(2014年)も読んでください。

行 程

歩き旅の行程

御殿場〜田貫湖を往復 240キロ

昨年は、富士五湖経由→田貫湖から富士山の南側をまわって富士吉田に戻るコース約190キロだったため条件Aの目標に届かないので、今年は御殿場から田貫湖まで行き、同じ道を御殿場に戻るコースにした。


実際に歩いたのは左図の通りで、合計8泊9日

往路:御殿場駅→山中湖→河口湖→精進湖→田貫湖

復路:田貫湖→本栖湖→西湖→河口湖→山中湖→御殿場


歩いた距離は240キロであった(平均27キロ/日)。1日の距離が30キロ未満であれば、朝早く歩き出すと午後の早い時間に次のキャンプ地に着くので、時間に余裕がとれるよう無理をしない日程が組める。


豪華な朝食

ウインナ、おにぎり、牛乳とバナナの朝食

1日のスケジュールは、朝は日の出の5時ごろ起床、朝食・片付けをして7時には出発する。歩き出すと昼食以外ほとんど休憩をとらないので、約30キロ未満であれば午後2時ごろには次のキャンプ地に着く。約1時間でテント設営した後シャワーを浴びるなど体の手入れをする。食事は全てコンビニ利用で、おにぎりとパンと果物の組み合わせで、事前に夕食と翌朝食の分を買い込んでおくため、自炊をしないので休憩時間はたっぷりとれる。

今回は、往復それぞれに温泉に入ることにし、往路は精進湖で、復路は西湖で日帰り温泉を楽しんでゆっくり寛いだ。そして暗くなれば就寝、極めて健康的な毎日である。


夏の歩き旅

「歩くことは健康の基本」、そして「夏の大汗は冬の風邪を遠ざける」効果がある。しかも夏であれば衣類や寝具が軽量で済み、16〜7sの荷物は負担にならずに歩くに適した重さだ。


今年の夏は去年にもまして全国的に猛暑日が続いて、富士五湖周辺でもとても暑かった。昨年最も暑かったのは標高500メートルぐらいの御殿場市内を歩いた時で、道路上の温度が30度だったが、今年は標高900メートル以上の本栖湖付近でも35℃を超えており、30〜35度のことは度々あった。しかし、大汗をかくことは嬉しいこと、いくら汗をかいても決して不快さはなかった。


視程が悪く富士山が見えない

視程が悪く富士山が見えない

富士山麓の朝は20度以下で、夏用の寝袋を使っているが寒くて度々目が覚めるほどだった。午前中は日なたでも概ね25度ぐらい、午後に30度を超えることがあっても、路上に投影する木陰を歩く時は吹き渡る風が涼しくてとても気持ちが良い。窓を閉じたまま過ぎ行く車が勿体ないくらいに感じる。


幸い雨に降られたことは1度しかなかったが、全般的にとても湿度が高い日が多く、日差しはあっても視程が悪くて富士の勇姿を見ることができなかった。僅かに富士山を見ることができたのは帰る前日の8月5日だけであった。


出会いの楽しみ

専ら歩く旅だからほとんど人と話す機会はない。コンビニでの買い物か、キャンプ場管理人と話すぐらいだろう。それでも少ないながら何人かの人との触れ合いがあった。

偶 然

精進湖にキャンプした時、隣りのテントの若いご婦人から「去年もお会いしましたね」と挨拶された。言われてみれば確かに昨年も一緒にキャンプした覚えがある。私を含めて合計4個のテントの住人がその時の人であった。本当に偶然だった。去年、夜間に突然大雨が降って濡れたため1日延泊したことがあり、その時の想い出話などに花を咲かせた。例年来ているそうで、もしかしたら来年も会えるかも---。

青木ヶ原

私のようなバックパッカーに会うことはほとんどないが、青木ヶ原の樹海近くで20代と思しき綺麗な女性ハイカーに会った。歩き旅の人には仲間意識を感じるもので、特に若い女性の独り歩きが珍しかったので声をかけた。

近くに住んでいる人らしく、体調を崩していたが富士山に登るため体を慣らしているとのこと。本当は何も持たないで歩いてもよいのだが、樹海の近くを若い女性が一人で歩いていると「自殺」と間違えられて必ず声を掛けられる、それが煩わしくてハイカーの格好しているとのこと。青木ヶ原は自殺の名所、樹海に入るとすぐに「その前にこちらに電話してください」といった趣旨の看板が立てられている。

そしてお遍路にも行きたいとのことで話に花が咲いた。

歩ける幸せ

田貫湖の近く、庭仕事をしている高齢のご夫婦の奥様から話しかけられた。キャンプしながら歩いていることを話すと、年齢を聞かれた。答えると「すごいねぇー」とのこと。隣で今にも倒れそうな感じで草むしりしている痩せこけたご主人を指して「73歳なの、ほとんど動かないで家に閉じこもっているの」と話す。人ぞれぞれ得手不得手があるが、ほぼ同じ年齢でありながらこうして動ける自分の幸運を感じた。

自然に触れて

自然を楽しむ

自然に触れる

キャンプ場の中でも山中湖村営キャンプ場は林間に整備された素晴らしいキャンプ場である。ここに来る度にささやかではあるが自然に帰ったような気分にさせてもらえる。地べたに寝転がり、木々の間から青い空を見上げ、白い雲が流れる様を追う。富士の歩き旅で疲れを忘れて癒されるひと時である。


昨年のように直接見ることはできなかったが、明け方にはテント近くに鹿がえさを求めてやってきた。テントを開ければ逃げてしまうのでカサコソと落ち葉を踏んで動くさまを想像する、都会の日常では得られない楽しみだ。


健康効果

歩く前後の状態をオムロンの家庭用体重計で測ったところ

体  重:69.8s →69.0s

体脂肪率:17.5  →12.7

体年齢 :56歳   →52歳

BMI :23.8  →23.6


四国お遍路の経験から割り出すと、家庭食よりはやや粗食を前提とした場合、約30キロ歩くと約100gの脂肪燃焼効果がある。従って240キロ歩いたので800gの脂肪が燃焼されたことになる。9日間も歩き続けてのステーキ4枚分の減量は、効果ありと考えるかそれとも減量の大変さの再確認となるか。

上記のデータでは燃焼した脂肪の量と体重減少分800gとが一致するが、急激な運動で体重が減ったとしても単に水分が少なくなっただけだから、運動量と体重減とはあまり直接的にとらえない方が良い。帰宅後暑かったので水分をたくさん摂ったところ、3日後には2.3キロ増えて出発前以上の体重になっていた。運動しないので水分が蓄積されたのだ。

減量効果は別として、今回の歩き旅の最大の成果は「今年も歩くことができた」ということである。


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