人生の余り道 (時の足跡)

韓半島情勢(2018年)

[2018年] 1月へ  2月へ  3月へ  4月へ  5月へ  6月へ  7月へ  8月へ

  

9月へ  10月へ  11月へ  12月へ

2018年1月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

1月1日
金委員長 ICBM実戦配備宣言「平昌の成功望む」
韓国、9日の南北協議提案

北朝鮮の金正恩委員長は、「米本土全域が核攻撃の射程圏内にある」などと述べ、米本土を攻撃できる核弾頭搭載の大陸間弾道ミサイルを実戦配備したと初めて宣言した。2月9日に開幕する平昌冬季五輪への代表団派遣のため、韓国と協議する考えも表明した。

3日
台湾に関連先か、当局が調査開始 北朝鮮・石油精製品密輸

北朝鮮に石油精製品を密輸したとして香港船籍のタンカー「ライトハウスウィンモア」が韓国政府に拿捕された問題で、台湾当局は2日、タンカーを借り上げた企業「ビリオンズ・バンカー・グループ」と深い関係があるとみられる台湾南部・高雄市の企業や関連先の調査を始めた。

4日
文大統領が元慰安婦に謝罪 日韓合意「意思に反した」

韓国の文大統領は、旧日本軍の元従軍慰安婦と大統領府で面会した。文氏は慰安婦問題を巡る2015年の日韓合意について「おばあさん(慰安婦)たちの意思に反する合意だった」と謝罪した。面会した元慰安婦は、日本政府の謝罪を求めた。

合意を巡っては、韓国外相直属の作業部会が17年12月27日、日韓合意について「被害者の意見を十分聴かないまま合意した」などと批判する検証結果を発表した。文大統領は翌28日、同問題の対策を早期にとりまとめるよう指示していた。

9日
南北閣僚級会談始まる
北朝鮮の五輪参加が焦点に

南北閣僚級会談が9日午前10時、板門店の韓国側施設「平和の家」で始まった。2月の平昌冬季五輪への北朝鮮の参加問題を中心に議論する。北朝鮮の五輪参加が決まるのか、参加と引き換えに、北朝鮮が韓国や国際社会に何を要求するのかが焦点になる。

13日
海自、黄海や東シナ海で
北朝鮮船への密輸を監視 

海上自衛隊の艦船が2017年末以降、黄海や東シナ海の公海上で中国船などによる北朝鮮船への石油精製品の密輸を監視している。国連安保理による対北朝鮮制裁決議の実効性を高める狙いだ。海自の集めた情報は米軍とも共有し、密輸防止に生かしているという。海自が実施するのは警戒監視や情報収集にとどまり、「船舶検査」はしていない。黄海で海自が警戒監視するのは珍しいという。

15日
米国防長官 戦争計画ある 対北朝鮮、外交解決が優先

マティス米国防長官がカナダ・バンクーバーで開かれた北朝鮮問題に関する20カ国外相会合に先立つ15日の夕食会で、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応に関し「(米国は)準備はしている。戦争計画もある」と発言し。同時に、外交努力による平和的な解決を優先するとの従来の立場も示した。

17日
北朝鮮の密輸防止へ連携 20カ国外相、圧力強化で一致

北朝鮮の核・ミサイル問題に関する関係国の外相会合がカナダのバンクーバーで開かれた。朝鮮半島の非核化に向けて圧力を継続することで一致。国連安全保障理事会の制裁から逃れる海上の密輸対策として、船舶検査を強化することも確認した。ティラーソン米国務長官は「北朝鮮への『最大限の圧力』の実効性を高める」と強調した。

17日
南北合同チームで合意
五輪アイスホッケー女子

韓国と北朝鮮は、平昌冬季五輪参加について、アイスホッケー女子の南北合同チーム結成で合意し、韓国のスキー選手が北朝鮮のスキー場で練習することも決めた。五輪を「人質」に韓国を融和路線に引き込む北朝鮮の姿勢が鮮明だ。五輪の成功は文政権にとって最優先課題でもある。北朝鮮が融和を演出し、国際社会の圧力を和らげる舞台として五輪を利用する懸念はぬぐえない。

17日
対北朝鮮、黄海や東シナ海
海の抜け穴封じ込め

北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐり、国連安全保障理事会による制裁の「抜け穴」封じの一環として、各国が禁輸物資の密輸阻止へ向けた船舶検査の強化で足並みをそろえ始めた。ただ、海上での密輸への関与が取り沙汰される中国やロシアの出方は不透明で、制裁の実効性を高めるハードルはなお高い。

19日
北朝鮮、視察団派遣を突然中止 韓国と一度は合意

韓国と北朝鮮は, 平昌冬季五輪の開催にあわせて北朝鮮が芸術団「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」を派遣することに関連し、20日に北朝鮮の事前視察団を韓国が受け入れることで一度は合意した。だが、北朝鮮が19日夜になって一転、派遣を見送る意向を通知し、取りやめになった。

20日
北朝鮮、平昌に選手22人派遣 IOCが合同チーム承認

国際オリンピック委員会は、2月9日に開幕する平昌冬季五輪への北朝鮮の参加をめぐり、韓国とのアイスホッケー女子の南北合同チームの結成や、開会式での「統一旗」を掲げた合同入場行進を正式に承認した。北朝鮮はスキー、アイスホッケー、スケートの3競技で22人選手を派遣する。

23日
慰安婦財団「年内解散願う」 韓国女性相

韓国の鄭(チョン)女性家族相は、2015年の日韓合意に基づき設立された「和解・癒やし財団」について、年内の解散を望む考えを明らかにした。海外で慰安婦問題の国際会議を開き、「効果的に日本に圧力をかけなければならない」とも述べた。

財団が解散されれば、合意の履行は不可能になる。財団は11人の理事中、既に3人が辞任し5人が辞表を提出、運営資金も国会で全額削られ、事実上の活動休止に追い込まれている。

24日
安倍首相、平昌五輪開会式出席へ 文大統領と会談 慰安婦合意の履行求める

安倍晋三首相は、韓国で2月9日に開催する平昌冬季五輪の開会式に出席する意向を表明した。20年の東京五輪を控え、同じアジアで開催される平昌五輪の開会式に行き、選手団を激励する。また、文大統領と会談し、慰安婦問題を巡る2015年末の日韓合意の履行を求める考えだ。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応も協議する。

25日
正恩氏の秘密資金「ミサイル実験の連発で枯渇」

米政府系放送局「ラジオ自由アジア」は、北朝鮮の金正恩委員長が核実験やミサイル発射実験を繰り返したため、故金正日総書記から引き継いだ秘密資金がほとんど枯渇していると報じた。 2月の平昌冬季五輪参加を決めたのも、苦境にあえぐ経済を支える狙いという。

29日
「心からの措置侮辱」、北が合同行事の中止表明

韓国統一省は、北朝鮮が2月4日開催の北朝鮮の金剛山での合同文化イベントを中止すると表明したと発表した。 同省によると、北朝鮮は、韓国側の平昌五輪関連の報道を批判し「北朝鮮の措置を侮辱する世論を広げ、祝賀行事まで問題視したため」と伝えてきた。韓国メディアは、この合同文化イベントに、韓国政府が発電用の軽油を提供することに触れ、国連安保理の対北朝鮮制裁などに抵触する可能性を指摘していた。

31日
米がミサイル迎撃実験失敗 日本と共同開発、北朝鮮にらみ防衛拡充狙う

米軍は、日米両国で共同開発した改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」を使った迎撃実験に失敗した。実験はハワイで行ったが、標的を撃墜できなかった。実験失敗は昨年6月に続いて2回目、同2月には成功していた。

日米は弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の脅威をにらみ、重層的な防衛体制の拡充を進めている。

2018年2月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

2月4日
北朝鮮、序列2位の金永南氏を平昌に派遣

北朝鮮は、平昌冬季五輪に序列第2位の金永南氏を団長とする代表団を9日から11日まで派遣する。韓国大統領府は、北朝鮮が対話に応じることへの期待感を示している。金氏は序列2位だが、実質的な権力からは遠いとされ、代表団のなかに崔竜海党副委員長ら金正恩氏の側近が含まれているかが焦点になる。

6日
NEM流出「北が関与の可能性」…韓国情報機関

コインチェックから約580億円相当の仮想通貨「NEM」が流出した事件に関連し、韓国の国家情報院は、事件に北朝鮮が関与した可能性があるとの見方を示した。北朝鮮は昨年、韓国内の数か所の仮想通貨取引所をハッキングし、計260億ウォン(約26億円)相当の仮想通貨を奪った。経済制裁に苦しむ北朝鮮が仮想通貨の窃取を新たな資金源にしている可能性がある。

6日
韓国、北朝鮮制裁で相次ぎ例外措置 万景峰号入港

陸路を予定していた芸術団は、2日前の4日になって万景峰号による海路に切り替えると一方的に通知、韓国は「例外措置」として認めた。北朝鮮は「不参加カード」をちらつかせながら、どこまで韓国が譲歩するかを瀬踏みしている。韓国内でも制裁が形骸化されかねないと懸念する声が出ている。

7日
金正恩氏の妹訪韓へ 北朝鮮、「破格」派遣で融和演出

金委員長の妹・金与正朝鮮労働党副部長が9日の五輪開会式に合わせ訪韓する。北朝鮮は南北融和ムードを強く演出、国際社会の圧力も緩和したい狙いがあるとみられる。韓国大統領府は高く評価した。米国は五輪期間中の南北対話を容認しつつも、戦略兵器を朝鮮半島周辺に展開するなど圧力を強めている。

8日
北朝鮮軍事パレードにICBM 軍創建70年 世界に軍事強国を誇示

北朝鮮は、朝鮮人民軍創建70年の記念日を祝う軍事パレードを平壌で実施した。金正恩委員長の出席が確認されたほか、大陸間弾道ミサイルとされる「火星15型」も初公開された。正恩氏は「世界に軍事強国の偉大な姿を誇示した」と演説した。

9日
日韓首脳、厳寒下の握手 慰安婦問題なお溝

従軍慰安婦問題に関する日韓合意の履行をめぐり、安倍首相と文在寅大統領の対話は平行線をたどった。首相は合意の履行を強く迫ったが、文氏は「国民が合意内容を受け入れなかった」と突っぱねた。また安倍首相が、米韓合同軍事演習を延期すべきではないと主張したのに対し、文大統領が「わが国の主権の問題だ」と不快感を示した。

10日
韓国大統領に訪朝要請 正恩氏妹、親書も手渡す

北朝鮮の金与正氏は、正恩氏の特使として「早い時期に面会する用意がある。都合の良い時期に訪朝してほしい」とする正恩氏の考えを口頭で伝えた。文氏は「条件を整えて実現させよう」と答えた。韓国当局者も「半島を取り巻く環境を成熟させなければならない」と指摘した。

13日
金正恩氏、南北関係改善を指示 訪韓代表団から報告

金正恩委員長は、平昌冬季五輪のため韓国を訪問した高官代表団から訪韓の成果について報告を受け、報告に満足の意を表し「北南関係改善や発展の方向」について、担当部署に南北首脳会談実現のため対話や交流行事の推進を指示した可能性がある。

13日
米、北朝鮮と「予備協議も」 国務省報道官

米国務省の報道官は、核放棄をめざす米政権の方針は不変だとしながらも、北朝鮮と予備協議を開く可能性があるとの考えを示した。また、コーツ米国家情報長官は上院情報特別委員会で、北朝鮮は「今年はさらに多くの実験をするだろう」と証言。ポンペオCIA長官も金正恩委員長の姿勢に「変化の兆候は見られない」と指摘した。

14日
核放棄まで米政策変えず 副大統領、対北朝鮮で表明

ペンス副大統領は、インタビューで、核・ミサイル開発を断念するまで米国の対北朝鮮政策に変更はないと表明した。北朝鮮が完全かつ検証可能な形で核放棄をすることで初めて「我々や国際社会は北朝鮮への態度を変更することができる」との認識を示した。

18日
南北、昨年2回の秘密接触 関係筋明かす 五輪参加問題を協議

韓国と北朝鮮の両当局者が昨年秋から年末にかけ、少なくとも2回、平壌で接触した。韓国は基本的に北朝鮮との交流を禁じており、当局者の訪朝は異例。接触を通じ、北朝鮮は平昌冬季五輪参加と南北対話路線を決めるに至った。米国は南北対話の行方を不安を持って注視していた。

21日
米朝会談、北朝鮮が直前キャンセル 五輪で訪韓時

ペンス副大統領は、韓国を訪問した際に金与正氏ら北朝鮮の高官と会談する予定だったが、会談の直前に北朝鮮がキャンセルした。会談は北朝鮮が韓国を通じて米側に申し入れ、秘密裏に合意していたが、ペンス氏が脱北者と面会したり、追加制裁に言及したため北朝鮮が不満を示し、会談の2時間弱前に中止を求めてきた。

22日
北朝鮮、平昌五輪閉会式に対韓政策統括の金英哲氏を派遣

北朝鮮は、平昌五輪閉会式に朝鮮労働党の金英哲中央委員会副委員長らを派遣する。金英哲氏は2010年に、韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件や韓国・延坪島砲撃に深く関わったとされている。米韓両国の制裁対象になっている金氏の派遣は、米韓合同軍事演習の中止と制裁形骸化の狙いがあるとの見方がある。

23日
韓国大統領、イバンカ氏に「国賓級」おもてなし

イバンカ大統領補佐官が、平昌五輪閉会式出席のため訪韓した。北朝鮮の与正氏を「過剰接待」したと批判を受けたこともあり、文在寅大統領は国賓級のもてなしで迎える。閉会式に派遣される北朝鮮の金英哲氏との接触について公式的に会う機会はない。

25日
北朝鮮代表団「米朝対話、十分な用意」 韓国大統領に

韓国の文大統領は、北朝鮮の金英哲氏らと会談した。金氏は米朝対話について「十分な用意がある」と表明した。文氏が米朝対話の早期実施を求めたのに対する発言で、北朝鮮側は米朝対話に意欲を示す一方、米国が求める非核化には触れなかった。

25日
米朝、平昌後にらみ攻防 4月の米韓演習が分水嶺

平昌五輪の閉幕を受け米国と北朝鮮の攻防は新たな局面に入る。平昌パラリンピック後に見込む米韓合同軍事演習が分水嶺となりそうだ。現在、朝鮮半島を巡る軍事的な緊張は小康状態だが、21日付の朝鮮日報は、米国が韓国に軍を通じ「演習の再延期や縮小は絶対に不可能だ」などと伝えたと報じた。

26日
「北朝鮮対話 ハードル下げる必要」 韓国、米に注文

平昌五輪の閉幕から一夜明け、韓国の文政権が北朝鮮との対話路線への傾斜を深めた。文大統領は、米朝対話の早期実現に向けて北朝鮮に非核化の意思を見せるよう迫る一方、米国にも「対話のハードルを下げる必要がある」と注文を付けた。

26日
トランプ氏「北朝鮮との対話、適切な環境下なら」

トランプ大統領は、北朝鮮との対話について「適切な環境のもとでなら我々も対話を望んでいる。そうでなければ対話しない」と述べた。韓国を訪れた北朝鮮高官の発言を念頭に「彼らは対話をしたがっている」と指摘し「様子をみてみよう」と語った。

27日
北朝鮮、パラ五輪にも代表団 「ほほ笑み外交」継続

北朝鮮は、9日開催の平昌パラリンピックに代表団4人と選手団20人を派遣する意思を韓国に伝えた。7日に陸路で韓国入りする。五輪で派遣した芸術団や応援団は参加しない。規模は縮小するものの、北朝鮮はパラリンピックで「ほほ笑み外交」を継続する。

28日
北朝鮮代表団「韓米訓練、受け入れられない」

平昌オリンピックで訪韓した北朝鮮代表団が南北対話で、五輪後に延期された韓米連合軍事訓練について「予定通りに訓練が行われれば受け入れることはできない」という立場を明らかにした。これに関連し、マーク・ナッパー駐韓米国大使代理はこの日、「韓米連合訓練のさらなる延期の可能性はない」と断言した。

2018年3月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

3月1日
慰安婦問題「終わっていない」韓国大統領が演説 日本に特別な対応求めず

文在寅大統領は、抗日運動「三・一独立運動」の記念式典で演説し、従軍慰安婦問題について「加害者である日本が『終わった』と言ってはいけない」と、日本をけん制した。一方、日本に「特別な対応を求めない」とも語り、強い対日批判は控えた。竹島(独島)については「独島は日本の侵略の過程で真っ先に奪われた土地」と批判した。

1日
韓国、北朝鮮に特使派遣 トランプ氏に電話で伝達

文在寅大統領は、北朝鮮が平昌五輪に金与正氏を派遣した答礼として、北朝鮮に特使を派遣する計画をトランプ氏に伝えた。文氏は2月25日に金英哲氏らと会談した際、非核化の方法論にまで言及したが、金氏は金正恩氏に報告し対応を協議したとみられる。韓国の特使派遣は、北朝鮮最高指導部の意図を見極める狙いがあるとみられる。

5日
大統領安保室長ら訪朝 韓国の特使を発表

文在寅大統領は、北朝鮮に1泊2日の日程で、大統領府の鄭義溶国家安保室長ら5人を特使団として派遣する。鄭氏は大統領府の外交・安保政策の司令塔役。徐氏はこれまでに2回の南北首脳会談に関わり、文政権内では南北対話のスペシャリストとされる。

6日
トランプ大統領「北朝鮮は真剣」 非核化の真意見極め

トランプ大統領は、北朝鮮が米国との対話に意欲を示したことについて、北朝鮮制裁が効果をあげているとの認識を示し、その上で「様子を見てみよう」と語り、非核化への真意を見極める姿勢を強調し、トランプ氏が真意を測りかねている様子もうかがえた。

6日
「公衆の面前で化学兵器使用」米が北朝鮮に制裁

米国務省は、マレーシアの国際空港で昨年2月、金正男氏が神経剤VXで殺害された事件について、北朝鮮政府が実行したと断定し、北朝鮮に対して5日付で、緊急人道支援を除く援助の中断などの制裁を発動したと発表した。

8日
米朝首脳5月にも会談 金正恩氏が要請、米政府発表

トランプ米大統領は、北朝鮮の金正恩委員長の会談申し出を「オーケー、オーケー。応じると言ってくれよ」と即答した。韓国大統領府によると、トランプ氏は5月までに会談する意向で、金委員長は核・ミサイル実験の凍結を約束した。米朝首脳会談が実現すれば歴史上初めてとなる。朝鮮半島を中心とした東アジア情勢に大きな変化をもたらすとともに、日本の外交・安全保障政策にも影響を及ぼすのは確実だ。

10日
米朝首脳会談、米国内に警戒論 北朝鮮非核化へ疑念

米与党・共和党や政権内に警戒論が出ており、過去の米朝協議の失敗を繰り返さないよう首脳会談の開催に厳しい条件を求めている。国交のない国の首脳が事前調整なしに会談するのは異例で、米政府の準備不足は否めない。ある国務省高官は米朝首脳会談の実現可能性について「50%未満だ」と語った。

10日
金正恩氏、トランプ米大統領へ非公開メッセージ 会談要請とは別の「包括的な内容」

金正恩委員長は、韓国高官を通じて、トランプ米大統領に口頭で非公開の「特別なメッセージ」を伝え、トランプ氏は非常に肯定的な反応を示したという。高官は、米朝首脳会談に先立ち、米朝実務者間の接触や特使の相互訪問など事前調整が進められる可能性があると語った。

韓国メディアは金正恩氏のメッセージについて、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発中止・段階的放棄や、北朝鮮に拘束されている3人の米国人の釈放、寧辺核施設の稼働停止などが含まれていると報じていた。

13日
米大統領、国務長官を解任 後任にCIA長官

トランプ大統領は、ティラーソン国務長官を解任し、後任にポンペオCIA長官をあてた。米外交の中核を担う国務長官が就任から1年余りで交代するのは異例。ポンペオ氏は国務長官として強硬な外交政策を推進する可能性があり、対北朝鮮政策にも影響するのは必至だ。

国際協調を重んじるティラーソン氏は、主要な外交課題を巡りことごとく対立。対北朝鮮で軍事行動も辞さないトランプ氏と、対話解決を志向したティラーソン氏の溝は埋めがたかった。解任で政権内のパワーバランスが変わるのは確実。ポンペオ氏は本格的な外交経験に乏しく、北朝鮮との厳しい駆け引きでどこまで手腕を発揮できるかは不透明だ。

20日
米韓軍事演習4月1日から 韓国 例年と同規模

韓国国防省は、米韓合同軍事演習を4月1日から実施すると発表した。演習の規模は「例年と同じ」と説明。北朝鮮が強く反発する米原子力空母の参加は見送る可能性がある。韓国メディアは「事実上の規模縮小になる」と伝えた。軍事演習を巡っては、金正恩委員長が例年と同規模で実施されることを「理解する」と表明した。

24日
金正恩委員長、米国の対北投資も歓迎する意向

韓国政府筋は、金正恩委員長が今月5日に行われた韓国政府特使団との会談で、北朝鮮の経済開発のために米国の投資も歓迎するという意向を明らかにした。 また、その後に訪米した韓国の特使が、それだけ金委員長の非核化意志が強いと説明したことが、トランプ大統領が5月中の米朝首脳会談開催を電撃的に決断する要因として作用したという。

26日
首相「北朝鮮と様々な手段でやり取り」

安倍首相は参院予算委員会で、日朝首脳会談の可能性を問われ「北朝鮮とは北京の大使館ルートなど様々な手段を通じてやり取りを行ってきている。」と述べた。将来的な日米朝首脳会談の開催に関しては「否定するものではない」とし、そのうえで拉致問題の解決が優先との立場を強調した。

26日〜28日
金正恩氏が訪中、習主席と会談 「非核化へ尽力」

北朝鮮の金正恩委員長が訪中し、習近平国家主席と会談した。金委員長による外遊は北朝鮮の最高指導者に就いた2011年以降初めて。(中国側によれば、中朝双方は今年初めから、核放棄に向けた取り組み姿勢を示すことを条件に金氏の訪中時期などについて交渉していた。訪中が実現したことは、北朝鮮から前向きな回答を得た可能性がある。)

新華社によると、金委員長は「朝鮮半島の非核化実現に尽力する」と表明し、習近平主席も「朝鮮半島の非核化」を強調した。(「朝鮮半島の非核化」は、北朝鮮+韓国の非核化を意味する。)一方で金委員長は、非核化は北朝鮮の要求に米国が対応しつつ、段階的に進めることが不可欠との認識を示した。但し、朝鮮中央通信は28日午前時点で、非核化に関する内容を伝えていない。

28日
北朝鮮、核実験部隊半減か 豊渓里、非核化合意へ備え実験場閉鎖も念頭

北朝鮮が咸鏡北道豊渓里の核実験場に展開する軍部隊をほぼ半減させる指示を出したと、複数の北朝鮮関係筋が明らかにした。米朝首脳会談で予測される非核化を巡る合意に備えた動きという。核実験場閉鎖も念頭に置いているが、米朝関係が悪化すれば活動を再開する構えとしている。

29日
中朝和解 北朝鮮「段階的に非核化」 米、軍事行動は難しく

金正恩委員長による電撃的な訪中によって、中国が後ろ盾として存在感を強めれば米国は軍事行動を取りにくくなる。北朝鮮は「段階的な非核化」の意思を示したが、時間稼ぎに終わる懸念もくすぶる。中朝関係の改善で、日米が主導する圧力路線も後退しかねず、北朝鮮の非核化への道筋は一段と複雑になった。

29日
南北首脳会談、4月27日開催で合意

韓国統一省は、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長の首脳会談を4月27日に開催することで南北が合意したと発表した。南北は4月4日に警護など会談を準備する実務会談を開催することでも合意した。

29日
トランプ氏「在韓米軍 負担」

トランプ大統領は、オハイオ州の演説で在韓米軍が米国の負担になっているとの認識を改めて示した。「非核化」の条件として「軍事的脅威の解消」などを掲げる北朝鮮は在韓米軍の撤退を求めているとされているだけに、トランプ氏が米朝首脳会談に向け、在韓米軍の在り方を交渉材料に据える可能性を示唆するものといえる。

29日
日朝首脳会談の誘惑 安倍政権「森友」失地回復に期待

安倍政権内で日朝首脳会談に前向きな声が出始めた。日本は北朝鮮には最大限の圧力をかける方針を貫いてきたが、南北、米朝首脳会談が立て続けに決まり、日本だけ置き去りにされる不安が出たためだ。森友学園問題で内閣支持率が急落したことから首脳外交による「得点」への期待も強い。誘惑に駆られやすい地合いだが実現にはリスクもある。

30日
中国の要請を再三無視した後 正恩氏「電撃」訪中

外交筋によれば、昨年11月に訪朝した習主席の特使には面会すら拒み、今年2月には中国大使館を通じて2度訪中を度要請したが、北朝鮮は無視した。ところが今月に入って雰囲気が一変、首脳会談の内容を説明するため高官の派遣を要請された北朝鮮は、これまでと一転して正恩氏本人の訪中が可能かどうか打診、習氏の招待を受け入れたという。

日米韓は衛星で、特別列車が平壌を出発した事実を25日までに確認したが、正恩氏が乗車しているかどうか確信が持てなかった。最終的に中国から中朝首脳会談があったことが連絡されたのは、会談の翌日だった。外交筋の一人は「東アジア情勢で主導権を握りたい中朝両国の思惑が一致した結果だろう」と語った。

30日
圧力継続訴え 米:経済問題重点 来月首脳会談、「蜜月」変化も

来月18日で調整する日米首脳会談で、安倍首相は北朝鮮問題で協力をとりつける方針だ。しかし米側は経済分野で日本に強気な姿勢をちらつかせ、これまで通りに認識を共有できるかは不透明な情勢。「蜜月」関係を誇ってきた日米にズレが生じ始めている。

30日
安保理、北朝鮮制裁の対象追加 海運21社・27船舶など

国連安保理の北朝鮮制裁委員会は、米国の提案で北朝鮮との石炭や石油の密輸などに関わっていたとして、21の海運会社と1個人、27隻の船舶を制裁対象に追加した。 北朝鮮の核問題を巡っては、対話ムードが広がっているが、安保理としては今回の追加指定により、北朝鮮の非核化に向けた前進がみられるまで圧力を維持する方針を明確にした。

31日
「北朝鮮が核実験用意」 河野氏、日朝会談に慎重

河野外相は高知市で講演し、北朝鮮が新たな核実験に向けた準備と受け取れる動きを見せていると明らかにした。米国提供の衛星画像を踏まえた発言とみられる。北朝鮮との対話は「焦る必要は全くない」と述べ、日朝首脳会談の早期開催に慎重姿勢を示した。北朝鮮の意図を巡っては、国際社会からの制裁圧力を弱め、経済的支援を得るためだと分析した。

2018年4月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

4月1日
米韓、軍事演習を開始 期間は昨年の半分 米空母派遣も見送り

米韓両軍は定例の合同軍事演習を開始した。4月中旬からは、米軍戦力展開のシミュレーションも始まる。内容は抑制的で期間中の米空母派遣は見送られ、北朝鮮指導部を狙った「斬首作戦」の演習も含まないという。また、今年は演習をメディアに公開しないなど北朝鮮を刺激しないようにする姿勢がうかがえる。

5日
金正恩氏、6カ国協議復帰を習主席に伝達

金正恩委員長が3月下旬に訪中して習近平国家主席と会談した際、中国が求めてきた「6カ国協議」への復帰に同意する考えを示した。決裂の可能性がある米朝首脳会談を前に、中国を味方に引き入れる呼び水とする狙い。中朝会談を機に6カ国協議が再開すれば、北朝鮮との対話路線を中国が主導する構図になりそうだ。

5日
南北首脳会談へ実務協議 板門店で、警護体制など

韓国と北朝鮮は、板門店の韓国側施設「平和の家」で、27日の南北首脳会談に向けた儀典や警護、報道対応を話し合う実務会談を開いた。首脳会談も平和の家で開かれる予定で、北朝鮮の金正恩委員長が軍事境界線を越えて韓国側に立ち入る経路などを確認するとみられる。

9日
米朝首脳会談「5月か6月初旬に」とトランプ氏

トランプ大統領は、金正恩委員長との会談の開催時期について「5月または6月初旬」、「北朝鮮の非核化について合意できるよう望む」と述べ、会談の成功に向けて意欲を示した。トランプ氏は水面下で調整が進んでいることを認め、「米朝関係がこれまでとは違ったものになることを願う」と述べ、関係改善に期待感を示した。

9日
北朝鮮「米朝首脳会談で非核化議論」 米報道

次の国務長官に指名されたポンペオCIA長官は、首脳会談に向けた調整を北朝鮮の情報機関と秘密裏に進めている。複数の米メディアによると、北朝鮮は金委員長が非核化の議論に臨む意思があると米側に明言したという。

12日
「非核化まで見返り与えず」 対北朝鮮でポンペオ氏

国務長官に指名されたポンペオCIA長官は、上院外交委員会の公聴会で、制裁緩和などを念頭にした見返り措置について「その前に恒久的で不可逆的な(非核化の)結果を得ることだ」と述べ、小出しにしながら支援を引きだそうともくろむ北朝鮮をけん制した。北朝鮮の核放棄について「楽観していない」と語り、北朝鮮の政権転覆については「決して求めていない」と言明した。

14日
金正恩氏、中国高官と会談 関係発展で一致

金正恩党委員長は、芸術団を率いて訪朝した中国共産党の宋濤中央対外連絡部長と会談し、両党が関心を持つ重大な問題や国際情勢について意見交換し、中朝関係を発展させていくことで一致した。南北や米朝の首脳会談を控え、伝統的友好国である中国との関係を強化する姿勢を改めて明確にした。

17日
習氏に経済協力要求 正恩氏、体制保証も 先月の中朝会談

3月に北京で行われた習近平国家主席と金正恩委員長との首脳会談で、正恩氏が習氏に大規模な経済協力を求めていたことがわかった。また、朝鮮半島の非核化に向けた米韓との交渉を見据え、北朝鮮の体制保証や軍事的脅威の解消など安全保障面で中国の支援を求めた。非核化を巡る米韓との交渉が本格化するのを前に、中国の理解と支援を求めたとみられる。

17日
日米首脳、非核化へ「最大限圧力」維持 対北朝鮮

訪米した安倍首相は、米フロリダ州でトランプ米大統領と会談した。初日の会談は、大半を北朝鮮情勢に関する話し合いで非核化実現へ「最大限の圧力」を維持することで一致した。トランプ氏は、米朝首脳会談で日本人拉致問題を提起することを明言した。

日本側には、トランプ氏の北朝鮮への対処方針がなお不透明なことへの懸念がある。日本は北朝鮮との関係改善には拉致問題の解決が不可欠との立場で、自ら積極的には動きづらい状況だ。首相がトランプ氏との連携を重視するのは、北朝鮮を巡る国際情勢が急展開するなかで、日本が置き去りにされないためでもある。

18日
南北「平和協定」締結へ協議 韓国大統領府高官

韓国大統領府高官は、27日の南北首脳会談で朝鮮半島の戦争状態の終結をうたう「平和協定」の締結に向けて協議する方針を明らかにした。これに関連し、トランプ大統領は、27日の南北首脳会談について「韓国と北朝鮮が戦争状態を終結させる話し合いに臨むのを私は支持する」との認識を示した。

21日
正恩氏 完全な非核化伝達 ポンペオ氏に 対象 期間示さず

金正恩委員長が、訪朝したポンペオCIA長官に、「完全な非核化」の意思を示したと北朝鮮関係筋が明らかにした。ただ、北朝鮮側は米朝首脳会談後の実務協議で段階的に進める考え。短い期間内に一括で非核化を進めたい米側とは考え方の違いが残ったままで、具体的な見返りをめぐる議論にまでは発展しなかったという。

また、北朝鮮は、トランプ氏2期目の任期が終わる約6年の間に段階的に非核化を進めたい狙いがある。一方で米国は非核化を実現する期間を、トランプ政権の今の任期と想定している。ただ、北朝鮮の約12個とされる核兵器はすでに実戦配備されており、非核化の「完全な検証」を受け入れるかどうかは不透明だ。

20日
北朝鮮 核実験とICBM発射中止を発表

北朝鮮の朝鮮中央通信によると、金正恩委員長は朝鮮労働党中央委員会総会で、21日から核実験とICBMを中止する方針を表明した。核実験場の廃止も発表し、核兵器や核技術の移転をしないと宣言した。しかし、日韓に脅威となる短・中距離ミサイルの中止には触れなかった。

20日
ポンペオ長官、首脳会談の目的は米国への核脅威に対処

ポンペオ長官は極秘訪朝後の米議会公聴会で、日韓両国の防衛を重視する考えを示しつつ、「米朝首脳会談の目的は、米国への核脅威に対処することだ」と強調しており、短・中距離ミサイル開発の中止・廃棄が、置き去りになる可能性もある。

20日
「全ての弾道ミサイル廃棄を要求」、米朝首脳会談で日米防衛相が一致

訪米中の小野寺五典防衛相はマティス国防長官と会談、米朝首脳会談では、日本を射程に入れる中・短距離も含めた全ての弾道ミサイルの廃棄を北朝鮮に求める方針を確認した。

(米朝首脳会談では、トランプ氏が米本土を射程に入れたICBMの廃棄だけを重視し、米国の直接の脅威とはならない中・短距離の弾道ミサイルを顧みない可能性が指摘されている。)

21日
北朝鮮、「核凍結」で主導権狙う 米は放棄まで圧力

北朝鮮は、核実験やICBMの発射を中止すると発表したが、金正恩委員長は核放棄の意思は示しておらず、米政権は圧力路線を継続する構えだ。

北朝鮮の核は小型化技術がなお途上にあり、ICBMの再突入技術も完成までには時間が必要とされている。北朝鮮の核実験中止などの表明について、中国外務省は「歓迎する」との談話を発表し、ロシア外務省も「朝鮮半島の緊張緩和への重要な一歩だ」と評価した。

22日
金委員長、「段階的な合意」を要求

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、3月末に訪朝したポンペオCIA長官に対し、金委員長が非核化まで何年もかかる「段階的な合意」を持ちかけていたと報じた。米政府高官は「北朝鮮が実質的に核廃棄するまで、米国は制裁緩和のような意味のある譲歩はしないということだ」と指摘した。

24日
米、駐韓大使にハリス司令官を指名へ

トランプ政権は、ポンペオCIA長官の求めでハリス太平洋軍司令官を駐韓大使に指名する。ハリス氏は日系米国人で、2014年秋に太平洋軍司令官に就任。北朝鮮の核・ミサイル問題への対処にあたってきた。米朝首脳会談が実現した場合に本格化する非核化を巡る米朝交渉に備える狙いがある。トランプ政権発足以来、駐韓大使が不在の異例の事態が続いている。

25日
中朝、在韓米軍巡り温度差 正恩氏撤収求めず、中国不満

在韓米軍を巡り、中国と北朝鮮に温度差が生じている。北朝鮮は、在韓米軍の撤収を強く求めておらず、米韓合同軍事演習が例年と同じ規模なら受け入れるとの考えを伝えた。一方、中国は不満を表明、休戦協定が平和協定に転換されれば、在韓米軍の存在意義も減少すると主張しているという。習近平国家主席が米朝会談前に訪朝したい考えも伝えたという。

25日
トランプ氏、北非核化の内容は「核兵器の廃棄」

トランプ氏は、マクロン仏大統領との共同記者会見で、「北朝鮮の非核化を見たい」と強調し、首脳会談の場で、金正恩委員長に直接要求する考えを示した。 米国や日本で、トランプ氏が北朝鮮と中途半端な合意をして、経済制裁の緩和などの見返りを与えかねないとの懸念があることを踏まえた発言とみられる。

27日
「完全な非核化」目標を明記 南北首脳が共同宣言

文在寅大統領と金正恩委員長は、共同宣言に署名した。最大の焦点である北朝鮮の核問題について「南と北は完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」と明記した。日米が求める「完全な非核化」に言及する一方で、実現への具体的な道筋は示していない。また、完全な非核化の範囲も、北朝鮮だけでなく、米軍が駐留する韓国も含めた朝鮮半島と規定した。

(1)朝鮮半島の非核化

具体策やその手法、期間は記されなかった。正恩氏は共同発表では、非核化や対米関係などに一切言及しなかった。

(2)恒久的な平和の定着

「平和協定」については、韓国、北朝鮮、米国の3者、または中国を加えた4者で進めていく。軍事境界線一帯での敵対行為を中止し、幅4キロの非武装地帯を、「実質的な平和地帯」に変える。

(3)南北関係の進展

北朝鮮・開城に南北共同連絡事務所を設置、南北の鉄道や道路の連結 定期的な会談と直通電話を通じた議論を続ける。

30日
「正恩氏、日朝対話の用意」 北朝鮮、核実験場廃棄「来月中に」

文在寅大統領は、安倍首相との電話会談で、金正恩委員長が「いつでも日本と対話する用意がある」と発言したと伝えた。また、韓国大統領府は、金委員長が豊渓里の核実験場を5月中に廃棄し、その様子を米韓の専門家やメディアなどに公開する考えを示した、と発表した。

2018年5月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

5月2日
在韓米軍論文:思わぬ火種、文在寅大統領「政府見解ではない」

文在寅大統領の外交ブレーン・統一外交安保特別補佐官が米外交専門誌に「平和協定が締結されたら、在韓米軍を正当化するのが難しくなる」と寄稿し、韓国政界で論争に発展している。米朝首脳会談を控え、米韓の連携に傷をつけたくない青瓦台は「政府見解ではない」と火消しに追われた。

2日
中国外相、北朝鮮の非核化「全力で支持」 後ろ盾を強調

中国の王毅外相は、北朝鮮を訪問し李容浩外相と会談した。王氏は4月27日の南北首脳会談について説明を受けたうえで「重要な成果をあげたことを祝福する」と評価した。朝鮮半島の非核化や平和構築を目指すとの北朝鮮の方針を「全力で支持する」とも強調。後ろ盾としての存在感を誇示した。

3日
北朝鮮核全廃に応じる構え 米朝事前協議で姿勢示す

米朝首脳会談に向けた両国の事前協議で、北朝鮮が、米国が求める手法による核の全面廃棄に応じる姿勢を示している。また、北朝鮮は核兵器の査察にも初めて応じ、ICBMの廃棄も行う意向だという。ただ、核廃棄に向けた期間や北朝鮮への見返りでは意見の違いが残り、予断を許さない状況だ。

非核化措置の手順や見返りとの関係などについて米朝は、首脳会談後の実務協議で詳細を詰める案を検討している模様だ。北朝鮮市民に対する人権侵害の問題や生物化学兵器、原子力の平和利用などの問題は、首脳会談後に先送りされる可能性もあるという。

3日
トランプ氏 軍削減、取引材料か

トランプ大統領は、在韓米軍の「削減」を北朝鮮との取引材料にするのではないかとの見方も出ている。トランプ氏はもともと、駐留経費への不満から在韓米軍を「負担」とみなして駐留継続に拘らない考えを示唆している。トランプ氏は、平昌冬季五輪前には在韓米軍の撤収を検討したが、ケリー大統領首席補佐官の説得を受け断念したこともあったという。

5日
北朝鮮の非核化、期限・査察で詰め 米朝に溝 米韓首脳22日会談

22日に開く米韓首脳会談は、米朝首脳会談をにらんだ非核化の詰めを急ぐ場になる。ポイントは期限と査察で、核放棄の短期決着をめざす米国と段階的非核化を唱える北朝鮮の間の深い溝がある。

米政権は「6カ月以内」、日米韓3カ国は少なくともトランプ大統領の任期内の2年内の案がある。このためには、IAEAによる査察が不可欠となる。だが核心部分を隠すやり方は北朝鮮の常とう手段だ。08年には原子炉の冷却塔爆破を外国メディアに中継までさせたが、大事な原子炉には手を触れさせなかった。また、北朝鮮は過去に、米国が朝鮮半島に核を持ち込まないと宣言することや韓国側への核査察、在韓米軍の撤収まで求めたことがある。

6日
米中高官、北朝鮮問題を電話協議 ポンペオ氏と楊氏

中国の楊政治局員は、ポンペオ国務長官と北朝鮮問題について電話協議した。中国外務省によると、楊氏は朝鮮半島の非核化と平和構築を並行して進めるべきだとの考えを伝えた。関係国の安全保障面の懸念に対する配慮も求めた。北朝鮮の金正恩委員長が望む体制保障や北朝鮮と国境を接する中国への影響などを念頭に置いたとみられる。

6日
北「1億年たっても神聖な土地踏めぬ」日本批判

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、日本に対し、「悪い癖を捨てない限り、1億年たっても、北朝鮮の神聖な土地を踏めない」と批判する論評を掲載した。北朝鮮への最大限の圧力を維持し、非核化に向けた具体的な行動を求める日本政府へのけん制とみられる。

一方、北朝鮮外務省報道官は、「圧迫と軍事的威嚇を引き続き追求するなら問題の解決に役立たない」と、米トランプ政権を批判した。トランプ政権も北朝鮮の完全な非核化を達成するまで、最大限の圧力をかけ続ける姿勢を堅持していることへの警告とみられる。

8日
習近平国家主席と金正恩委員長が大連で会談

金委員長が、北京以来の異例と言える短期間に再訪中した。正恩氏には、米朝首脳会談に向けて習氏の支持を取り付ける狙いがある。これに対し、習氏は、朝鮮半島の非核化と、米朝が対話を通じて半島問題を解決することを支持、米国側にも譲歩を求める正恩氏の主張に一定の理解を示した。習氏は、中国が地域の安定のために「積極的な役割を発揮する」とも表明した。

8日
ポンペオ国務長官が再訪朝 米朝首脳会談の準備で

トランプ大統領は、ポンペオ国務長官を北朝鮮に再度派遣した。ポンペオ氏はCIA長官だった3月末〜4月初めに訪朝したばかり。初の米朝首脳会談の議題や詳細な日程に関して詰めの調整にあたるとともに、北朝鮮に拘束されている3人の米国人の解放も求める見通しだ。

9日
米、北朝鮮に警告 イラン核合意は「反面教師」

トランプ大統領はイラン核合意からの離脱表明によって、北朝鮮に向けて強い警告を発した。それは非核化に関する合意が不十分なら、米国は決して受け入れることはないとのメッセージだ。事実上始まっている非核化交渉で主導権を握る狙いがある。初の首脳会談に向けた米朝の駆け引きが激しさを増してきた。

10日
北朝鮮解放の米国人3人が帰国 米朝首脳会談へ前進

北朝鮮から解放された米国人3人は10日、ワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地に到着した。トランプ米大統領とペンス副大統領が3人の帰国を出迎えた。米朝間の懸案の一つが取り除かれたことで信頼醸成が進み、6月初旬までに見込まれる米朝首脳会談の実現に向けて前進した。

10日
金正恩氏「歴史的出会いになる」 米朝会談に意欲

北朝鮮の朝鮮中央通信は、金正恩委員長が訪朝したポンペオ米国務長官と9日に会談し、米朝首脳会談の問題を議論して「満足な合意を得た」と報じた。金正恩氏は「未来建設の第一歩を踏み出す歴史的な出会いになる」と強調し、会談に意欲をみせた。北朝鮮が米朝首脳会談に関する金正恩氏の発言を伝えたのは初めて。

11日
シンガポールで米朝会談 歴史的和解の舞台演出

米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで開催されることが決まった。シンガポールは「誠実な仲介者」を自称し、米国と北朝鮮がともに大使館を構えて友好的な関係を保っており、開催地としてふさわしいと判断したとみられる。

12日
米、北朝鮮に体制保証の用意提示 完全非核化が条件

トランプ政権が北朝鮮の完全な非核化を条件に、体制保証や経済支援の用意がある考えを伝えた。北朝鮮側も一定の評価をしているもようだ。北朝鮮が支援を先取りしないように、核査察受け入れなど厳格な非核化の検証計画を条件にする方向だ。

12日付の朝鮮日報は、9日に平壌で金正恩委員長と会談した際にポンペオ氏が体制保証と制裁緩和、経済支援をまとめた「包括的パッケージ」を北朝鮮に提示したと報じた。北朝鮮メディアは、金正恩氏が「新たな代案を高く評価した」と伝えている。

13日
米国務長官、北朝鮮支援「民間資本で」

ポンペオ国務長官は、北朝鮮が完全な非核化に応じた場合の見返りとなる経済支援は民間資本を想定していることを明らかにした。支援の主体は、北朝鮮の電力などのインフラ整備や農業支援を進める考えを示した。ポンペオ氏は見返りとして制裁緩和と体制保証にも言及したが、北朝鮮が想定する段階的措置は「繰り返し失敗してきた」として否定的な考えを示した。

14日
北朝鮮代表団が訪中 米朝会談へ対応協議か

北朝鮮の代表団が空路北京空港に到着した。6月12日にシンガポールで開かれる初の米朝首脳会談に向けて、後ろ盾となる中国と調整を図る可能性がある。空港には北朝鮮の池在竜・駐中国大使のほか、中国共産党で対外交渉を担う中央対外連絡部の関係者が出迎えた。

16日
南北閣僚協議、突然の中止 中朝関係改善で強気に?

米韓の軍事演習に反発した北朝鮮の金桂官第1外務次官は、16日に予定していた南北閣僚級会談の延期を表明。米朝首脳会談の再考もちらつかせながら、北朝鮮への強硬姿勢で知られるボルトン大統領補佐官を名指しで非難した。緊張をあおり「完全な非核化」で米国に譲歩を迫る瀬戸際戦術の一環だ。

北朝鮮が示した強気の姿勢の背後には、中国を「後ろ盾」に得た自信がうかがえる。中国には非核化交渉の主導権をトランプ政権に渡さないという意思が働く。自信を得た北朝鮮が、来る首脳会談へ積極的なディールへと打って出始めたとも読める。

17日
トランプ氏、北朝鮮の体制保証言及 非核化の見返りに

トランプ大統領は、非核化の見返りとして「金正恩委員長はとても力強い保護を得ることになるだろう」と述べ、体制保証の用意があるとの考えを示した。核放棄を先行させる「リビア方式」は「北朝鮮について考えるときのモデルではない」と否定した。ただ、トランプ氏は「もし合意がなければ『完全な破壊』が起きるだろう」とも語り、非核化に応じるよう迫った。

24日
米朝会談中止、トランプ氏「世界に大きな後退」 追加制裁の可能性も

トランプ大統領は、6月12日の米朝首脳会談の中止を発表した。記者団に「北朝鮮や世界にとって大きな後退だ」と表明。必要があれば軍事行動も辞さない構えを示し、北朝鮮をけん制した。トランプ政権は追加制裁にも含みを持たせており、朝鮮半島情勢が再び緊迫する可能性が出てきた。

中国の後ろ盾を得た北朝鮮に「完全な非核化」を受け入れる意思はないとみて、時間稼ぎに持ち込む展開を遮断する反撃に出た。金正恩委員長には思わぬ誤算となったが、米朝は対話の扉を閉ざしてはいない。東アジア情勢緊迫のリスクをはらむパワーゲームは、まだ幕が上がったばかりだ。

25日
米朝会談中止、北朝鮮高官「米と向き合う用意ある」

北朝鮮の金桂官第1外務次官は、トランプ大統領が米朝首脳会談の中止を表明したことに関して「予想外で非常に遺憾だ」と強調、「我々はいつでも問題を解決する用意がある」とする談話を発表した。首脳会談の中止を回避するため、米側に譲歩する可能性を示唆した。

26日
米国の揺さぶりに危機感が一致 南北首脳、突然の会談

韓国の文大統領と北朝鮮の金党委員長が約1カ月ぶりに再び会談した。トランプ米大統領の揺さぶりに動揺がみられた北朝鮮だが、朝鮮半島の平和を訴える韓国と、米朝対話が途絶えることへの危機感で一致、突然の会談になったようだ。

北朝鮮は国内メディアで、正恩氏が米朝首脳会談の開催に同意したと報じている。経済制裁や米軍による軍事的脅威もあり、簡単に米朝会談を中止できない状況に追い込まれていた。正恩氏は米韓会談を22日に終えたばかりの文氏から、トランプ氏の真意を確認しようとしたとみられる。

27日
米朝、板門店で実務者協議 首脳会談へ調整

駐韓米大使の経験のあるソン・キム駐フィリピン大使率いる代表団が北朝鮮入りし、非核化を巡って話し合っている。国務省のナウアート報道官は声明で、協議が南北軍事境界線の板門店で開かれていると発表した。協議は29日まで続く可能性がある。

30日
正恩氏側近が訪米、ポンペオ氏と会談へ

米朝首脳会談の調整のため、CIAとの水面下交渉に携わってきた北朝鮮の金英哲党副委員長がニューヨークを訪れ、夕食をともにしながら約1時間半会談した。非核化の工程表を巡り、板門店などで開かれている実務者協議よりも一段上のレベルで詰めの政治判断を探る。会談は31日も開く予定だ。

非核化の工程表には、北朝鮮によるIAEAの査察受け入れや、核弾頭の搬出など高度な政治判断を伴う項目がある。金英哲氏とポンペオ氏との間で大枠を調整し、その後、実務者が再び合意文書など詳細について詰めの作業を進めるという手順を踏むことになりそうだ。

一方、朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は29日の記事で、米韓が実施する定例の合同軍事演習の中止を求めた。合同軍事演習の取りやめを、非核化の見返りである体制保証の一環と位置づけている可能性がある。

2018年6月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

6月1日
トランプ大統領 6月12日に金正恩委員長と会談

トランプ大統領は、北朝鮮の金正恩委員長と6月12日にシンガポールで会談すると発表した。トランプ政権は北朝鮮に対し「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」に必要な措置の一括合意を求めない方針だ。


トランプ氏は「会談はうまくいくだろう」と自信を示しながらも会談が複数回開かれるとの見通しを示した。また、「北朝鮮は非核化を望んでいる」とし、「これから『最大限の圧力』という言葉は使いたくない」と述べた。国際社会による北朝鮮への制裁網が緩む可能性があり、非核化プロセスの先行きは不透明感が高まっている。


北朝鮮の金英哲党副委員長の米国訪問はデジタル外交の様相を呈している。トランプ大統領やポンペオ国務長官がツイッターで実況。通常はベールに包まれて、本来なら外交官しか知り得ない情報を、一般の市民もほぼ同時に知るという劇場型の展開になっている。

7日
首相、日朝首脳会談に意欲 トランプ氏「拉致を提起」

安倍首相は、ホワイトハウスでトランプ米大統領と約1時間40分会談した。首相は共同記者会見で、日本人拉致問題の解決を目指し北朝鮮の金正恩委員長との会談実現に意欲を示した。トランプ氏は米朝首脳会談で拉致問題を提起すると明言した。

7日
朝鮮戦争終結で合意検討 米朝会談でトランプ氏

トランプ大統領は、朝鮮戦争の終結に関して米朝首脳会談でなんらかの合意に至る可能性に言及した。米朝会談が成功裏に終わった場合、北朝鮮の金正恩委員長に米国訪問を招請する考えも表明し、首脳会談が複数回にわたる可能性を改めて示したが、「北朝鮮への『最大限の圧力』という言葉はもう使わない」と重ねて語った。

7日
「朝鮮国連軍」撤退なら日本は… 横田に後方司令部

朝鮮戦争が正式に終結すれば、米軍を中心とする朝鮮国連軍の扱いが論点になる。日本の米軍横田基地(東京都)には朝鮮国連軍の後方司令部があり、平和協定を結べば撤退することになる。朝鮮国連軍の撤退は日本の安全保障にも影響する。

9日
中国、半島外交主導権渡さず G7の裏で国際会議

中国やロシアなど8カ国でつくる上海協力機構(SCO)首脳会議が山東省青島で開幕した。中ロ首脳は北朝鮮問題での連携を確認し、北朝鮮が求める「体制保証」や「段階的な非核化」に理解を示し、引き続き朝鮮半島への影響力確保を狙う。貿易問題で足並みが乱れる主要7カ国首脳会議を横目に、中ロを軸とした枠組みで結束を打ち出す。

12日
トランプ氏、金正恩政権の体制保証を約束

トランプ大統領と金正恩委員長は、北朝鮮が朝鮮半島の「完全な非核化」に向けて取り組むことなどを盛った合意文書に署名した。トランプ氏は非核化プロセスについて「迅速に始まる」と表明、金正恩政権に体制保証を提供すると約束した。

合意文書は(1)新たな米朝関係の構築(2)朝鮮半島の平和構築に努力(3)朝鮮半島の非核化を合意した「板門店宣言」を再確認(4)朝鮮半島の戦没者の遺骨回収を確認――などを明記。

非核化の完了期限が入ったかどうかについては明らかになっていない。

12日
トランプ氏、拉致問題を提起 米朝首脳会談で

トランプ大統領は記者会見で、米朝首脳会談で日本人の拉致問題を提起したことを明らかにした。「(共同声明の)文書には盛り込まれていないがこれから協議していく」とも述べた。

13日
米朝 非核化具体策へ高官協議 来週に

トランプ政権は、積み残しとなった非核化の具体策を話し合うため、ポンペオ国務長官と金英哲党副委員長による高官協議を来週に開催する。北朝鮮の朝鮮中央通信は米朝が会談で「段階別、同時行動の原則」を順守することが重要との認識で一致したと報じており、早くも米朝で認識のズレが表面化している。

13日
米朝首脳会談 安倍首相 会談結果を支持 日本専門家 期待以下

安倍首相は前向きな評価をしたが、日本政府の期待にはるかに及ばないもので、日本のメディアと専門家の間でも失望感が強かった。トランプ大統領のディールは全く具体性がなく、共同声明も当初の期待より後退した内容だった。それは、北朝鮮が米国の強い圧力によく耐え抜いたことを意味する。今後、日本政府は、北朝鮮との独自の接触を模索する可能性が高い。

13日
米国専門家の評価

「勝者は金正恩氏…米国はまた北に騙された」

・金正恩委員長は譲歩をせず、韓米合同訓練中止、在韓米軍撤収、トランプ大統領との2回目の首脳会談をつかんだ。

・「勝者は金正恩委員長、文在寅韓国政権、中国」とし「金正恩委員長はいかなる約束もせず、韓国は北朝鮮への関与政策を進めることができ、中国は気になる韓米連合訓練が中断される可能性を得た。」

・金正恩委員長は核兵器を保有した国家指導者として自由世界の聴衆を率いることができる。

13日
北朝鮮非核化「大統領任期内に」 ポンペオ米国務長官

ポンペオ国務長官は、2021年1月までのトランプ大統領の任期内に、北朝鮮の非核化の大部分を達成したいとの意欲を示した。ポンペオ氏は「北朝鮮は、非核化は検証を伴うことを分かっている」と指摘し、非核化交渉がうまくいかなければ、米韓合同軍事演習を再開することになるとの立場を示した。

13日
米大統領を平和賞に推薦 ノルウェー議員

米朝首脳会談を受け、ノルウェーの国会議員2人が、トランプ米大統領はノーベル平和賞に値するとして、選考主体のノーベル賞委員会に推薦状を送ったと明らかにした。今年の推薦の受け付けはすでに終了しており、今回の推薦は来年の選考対象となる見込み。

14日
韓国・統一地方選で与党勝利 南北融和の文氏政権信任

韓国の統一地方選の結果、南北融和を進める文在寅政権が韓国国民の信任を受け、注目選挙区の自治体17のうち、13の地域で当選を確実にして勝利した。保守系野党は従来地盤としていた地域でも苦戦が伝えられている。改選前の内訳は共に民主党が6、自由韓国党が6、無所属が1、空席4だった。

14日
習近平主席、飛行機2機貸してすべてを得た

習主席は移動手段がない金正恩委員長に自身の専用機2機を提供することで望む結果を勝ち取った。

まず中国が強く提示してきた「北朝鮮の核実験と韓米合同演習の同時中断」が現実し、トランプ大統領が在韓米軍撤収まで示唆した。

北朝鮮は、中国との関係を維持しながら米国との関係改善を通じて実利を取る「等距離外交戦略」を駆使する可能性がある。1960年代に金日成が中国とソ連の間で展開した「等距離外交」の現代版といえる。

14日
金氏「日朝対話にオープン」 トランプ氏、首相に伝達

トランプ大統領は、安倍首相との電話会談で金委員長が安倍首相との対話に「オープンな姿勢」を示していたと伝えた。北朝鮮は国営メディアを通じ「拉致問題は解決済み」との姿勢を発信してきた。正恩氏はトランプ氏との会談ではこうした姿勢を示さなかったとされる。

14日
米朝融和、日本安保に余波 防衛相、米側に懸念伝える

トランプ大統領が米韓軍事演習の中止や在韓米軍の将来的な撤退に言及したことに関して、小野寺防衛相は14日夜、マティス米国防長官に電話で「在韓米軍は東アジアの安全保障に重要な役割を担っている」と懸念を伝えた。マティス氏は「縮小は検討していない」と応じた。政府は米朝融和の余波が周辺の安全保障に及ぶことを警戒する。

14日
米韓軍事演習の中止を支持 次期駐韓大使のハリス氏

駐韓米大使に指名されたハリー・ハリス前太平洋軍司令官は、トランプ米大統領が打ち出した米韓合同軍事演習について、「首脳会談後に状況が劇的に変わった」と指摘して中止を支持する考えを表明した。米朝首脳会談で完全な非核化を約束した北朝鮮の本気度を見極める必要があると強調した。

15日
日朝首脳会談、18年秋・第三国で調整

金委員長が12日の米朝首脳会談で首相との対話に前向きな姿勢を示したのを踏まえ、今秋を目指し水面下での折衝を始める。日朝首脳が接触する可能性がある最初の機会は9月中旬にロシア極東のウラジオストクとみられる。

15日
米朝会談受けた世論調査 米国民、半数がトランプ氏評価

ロイター通信によると、51%がトランプ大統領が適切に対処していると支持した。一方、北朝鮮の非核化など会談の合意内容が守られると答えたのは26%、合意が守られるとは思わないと答えたのが40%に達し、北朝鮮の非核化が実現すると思っていない米国民が多いことを示した。核戦争の脅威は39%が「低下した」と答えた一方、37%が「状況は変わらない」とした。

15日
拉致問題「既に解決」と北朝鮮ラジオ

ラヂオプレス(RP)によると、北朝鮮の平壌放送(ラジオ)は、日本人拉致問題について「既に解決された」と言及した。米朝首脳会談後、北朝鮮メディアが拉致問題は解決済みとの従来の主張を表明したのは初めて。

17日
米韓軍事演習中止の要求、習氏が正恩氏に促す 5月上旬

中国・大連で5月上旬に開かれた中朝首脳会談で、正恩氏が拘束していた3人の米国人を解放すると伝えたところ、習氏は「見返りとして米韓軍事演習の中止を米国側に求める」よう提案したと中国外交筋が明らかにした。北京の北朝鮮筋によると、北朝鮮にとって「最も優先するのは体制保証で、米韓軍事演習中止の要求は念頭になかった」としている。

19日
金正恩氏が3度目訪中へ 米朝会談を説明

金正恩委員長が3度目の中国訪問を調整している。金正恩氏は米国との共同声明で朝鮮半島の非核化への意思を示した見返りとして制裁緩和などに中国の支持を取り付けたい考えのようだ。習近平氏は「中国は建設的な役割を果たしていく」と述べ、後ろ盾として北朝鮮を支える方針を強調した。

25日
北朝鮮、融和ムード 米非難せず/朝鮮戦争開戦から68年

朝鮮戦争の開戦68周年を迎えた。南北は朝鮮半島に平和体制の基礎をつくるため、軍の通信回線を復旧させる実務協議を行い、鉄道連結などをめぐる新たな協議の日程も発表。北朝鮮は従来この日を「米帝反対闘争の日」と位置づけてきたが、今年は非難の論調が消えた。北朝鮮の労働新聞は、米国を名指しで非難せず、「米帝」の表現も使わなかった。

28日
正恩氏「制裁苦痛、早期解除を」習氏に協力要請

中国がロシアと共に、国連安全保障理事会のメンバー国に対北制裁緩和を求める声明案を配布したが、これは金正恩委員長の要請を受けた動きとみられる。金委員長が6月19、20日に北京で習氏と会談した際、「経済制裁で大きな苦痛を受けている。米朝首脳会談を成功裏に終わらせたのだから、制裁の早期解除に努めてほしい」と協力を要請していた。

29日
米朝協議ずれ込む日程 国務長官の3回目訪朝が浮上

6月下旬の開催をめざしていた米朝高官協議の日程がずれ込んで、7月上旬以降になる見通しで、ポンペオ国務長官による3回目の訪朝案が浮上している。

北朝鮮分析サイト「38ノース」は、北朝鮮の核施設で建物などの改修作業が急ピッチで進んでおり、核・ミサイル実験を停止しているものの、核兵器の原料の生産を止めていないと指摘した。米朝首脳会談で合意した早期の非核化の先行きは一段と不透明感が増している。

29日
外務省に北朝鮮担当課新設、拉致問題など交渉加速狙う

外務省は7月1日付で、これまで朝鮮半島全般を担当していたアジア大洋州局北東アジア課を分離し、韓国外交を担う第一課と北朝鮮外交を担う第二課として改編する。南北・米朝首脳会談の実現など朝鮮半島情勢が激変するなか、日韓間の連携強化、北朝鮮による核・ミサイル開発問題への対応、拉致問題への取り組みの強化といった諸課題に効果的に対応するため組織する。

2018年7月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

7月1日
北朝鮮 核兵器製造の継続を隠蔽か 米紙報道

情報筋の話として、米朝首脳会談後も北朝鮮は核兵器を放棄せず、米政府からできるだけ譲歩を引き出そうとしていると指摘。また、情報当局者の話として「北朝鮮が核兵器の備蓄数を減らしたり、製造を中止したりした証拠は一切ない」「北朝鮮が米国をだまそうとしている明白な証拠がある」と報じた。ポンペオ国務長官は金委員長が非核化に真剣であると主張する一方、核廃棄の約束の詳細を詰めるため、金委員長と会談する意向も示している。

3日
非核化、米朝協議スタート 北朝鮮の意志、確認へ

北朝鮮は、これまで高官協議のためポンペオ氏が要請する訪朝に応じず、非核化や遺骨を巡る協議に慎重な姿勢を取った。その一方で、金委員長は6月19日に訪中して習主席と会談した。中国から安全保障や経済でどの程度の協力を得られるか見極めたうえで、ポンペオ氏との協議方針を決めたとの見方がある。

6日
米国務長官、6日訪朝 非核化の具体策を議論

ポンペオ国務長官は、北朝鮮を訪問し「完全な非核化」の具体策を巡る協議に臨む。ポンペオ氏は北朝鮮が持つ全ての核兵器やミサイル、核関連施設に関する情報を把握したうえで、それらの廃棄・解体への道筋をつけたい考えだ。ただ、米情報機関には北朝鮮の非核化に懐疑的な見方が強い。トランプ大統領は5日、記者団に「今言えるのは、様子を見てみようということだけだ」と述べた。

6日
国連事務次長が訪朝へ、人道支援関連で

国連は、人道問題担当のマーク事務次長が9〜12日に北朝鮮を訪問すると発表した。政府関係者や人道支援関連の担当者らと面会する予定。北朝鮮では国民の4割の1030万人が食糧や医療などの支援を必要としており、国連は朝鮮半島情勢が融和ムードに転じたことを機に、国際社会からの支援を引き出す考えだ。

7日
北朝鮮 米の態度遺憾 非核化協議でけん制か

北朝鮮は、2日間にわたるポンペオ氏との米朝高官協議に関して「米国側の態度は遺憾極まりない」とする報道官談話を発表した。「米国は一方的で強盗のような非核化要求だけを持ち出した」と強く非難し、「新しい方法で、段階的、同時行動の原則で解ける問題から1つずつ解決していくことが、朝鮮半島の非核化実現への近道だ」などと主張。ポンペオ氏と金正恩氏との会談は実現しなかった。

8日
「完全非核化まで制裁」 日米韓外相、対北朝鮮で結束

日米韓3カ国の外相は、都内で会談し、北朝鮮の完全な非核化を実現するまで経済制裁を維持する方針を確認した。ポンペオ氏は、北朝鮮が米国の非核化の要求を「強盗のような要求」などと非難を強めていることに対しては、6月の米朝会談前後から使っていない「最大限の圧力」の言葉を使うなど、北朝鮮からのけん制に反応するような言動もみられた。

9日
米 完全非核化の表現を「完全」と「不可逆的」をなくし「検証」を使用

トランプ大統領が、「CVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)」を取り下げて、代わりに「FFVD(最終的かつ完全に検証された非核化)」との表現を使って「検証できればいい」と言っていることに対し、大半の米メディアは米側が譲歩したと受け取っている。

9日
専門家 首脳会談以降の北朝鮮の動きを分析

専門家は、衛星画像や米情報機関が入手した極秘情報などを基に米朝首脳会談以後の北朝鮮の動きをこう分析している。

1 これまでに核兵器1発を破棄し、ミサイル発射実験施設1カ所を取り壊したに過ぎない。

2 核兵器製造に必要なウラニウム、プルトニウム、トリチウムを増産する一方で、固定燃料型の弾道ミサイル製造拠点を拡張する工事をほぼ完了させている。

3 核兵器を廃棄する工程への検証を拒み続ける一方で、保有する核兵器の隠蔽を計画している。

10日
米朝交渉、北朝鮮のペース 非核化急ぐ米、見えぬ道筋

非核化を急ぎたくない北朝鮮のペースで協議が進んでいる。その原因は、トランプ米大統領が「会談ありき」で調整を急がせた結果、共同声明では、米政府の基本方針をあいまいにしたため、北朝鮮が主張する「一方的に非核化するわけではない」という理屈を容認した。北朝鮮は、中国の指示も得ており立場がますます強まりつつある。交渉が長引くほど、北朝鮮が核・ミサイルの能力を維持できる。また中国が制裁を緩めれば、北朝鮮は経済的にも一息つき軍事的な力を強める時間を得ることにもなる。

12日
北朝鮮「瀬取り」89回 米、石油精製品供給停止求める

米国連代表部が、国連安保理の北朝鮮制裁委員会に対し、北朝鮮が「瀬取り」の方法で石油精製品を少なくとも89回輸入したことを批判する文書を提出し、国連の全加盟国に対して石油供給を止めるように要請している。また、米国は今回の文書で、既に決定した年間供給上限50万バレルを超えたと指摘した。トランプ政権は中国やロシアの企業が引き続き北朝鮮に石油精製品を供給していることを問題視している。

15日
米朝、板門店で遺骨返還協議 将官級会談か

米国と北朝鮮は、米兵の遺骨返還協議を板門店で開いた。北朝鮮軍と在韓国連軍の将官級会談は2009年3月以来となる。ただ、北朝鮮が15日の協議の出席者を将官級にすることを望んだのは、米国に遺骨返還の見返りを要求する狙いとの見方もあり、米朝が計画で合意したとしても即座に非核化問題の進展につながるかは不透明だ。

16日
平壌郊外にウラン濃縮施設か 03年から稼働と専門誌

北朝鮮が平壌郊外の千里馬にあるウラン濃縮施設を2003年から稼働させていた可能性が高い。千里馬の主要な建物は長さ50メートル、幅110メートル。雪が多い冬場でも屋根に積雪がなく、濃縮作業などで熱が生じている可能性があるという。金正恩委員長は千里馬を訪れてきたが、この施設だけは機密保持のため訪問記録がない。

17日
北朝鮮との非核化交渉「期限設けず」とトランプ氏

トランプ大統領は、北朝鮮との非核化交渉について「私たちは期限を設けていない」と述べ、短期間の実現をめざしてきた非核化交渉が、長期化する可能性を示唆した。トランプ氏は昨年11月以来、核実験やミサイル発射がないことに触れて、「今まさにプロセスを踏んでいる最中だ」と述べ、非核化交渉は順調に進むとの見通しを示した。

20日
北朝鮮が文在寅氏ら批判「米国の顔色うかがっている」

韓国の文在寅大統領が「米朝首脳が約束を守らなければ、厳しい審判を受ける」と発言したことに対し、北朝鮮の労働新聞は「無礼非道な詭弁」だと批判した。一方、対韓宣伝サイトは、韓国に集団亡命した北朝鮮レストラン女性従業員らの送還を改めて要求。解決されなければ、8月に予定される離散家族再会行事の取りやめを示唆した。

20日
北朝鮮非核化まで制裁継続 米国務長官、安保理で中ロ牽制

ポンペオ国務長官は、中国とロシアが制裁の緩和を示唆するなか、国連安保理の理事国に北朝鮮との非核化交渉について説明し、北朝鮮の非核化まで結束して制裁を続ける必要性を確認した。会合後に「洋上や国境での密輸などの違法行為はやめさせなければならない」と記者団に語り、違法に北朝鮮に輸出しているとされる中ロを牽制した。

23日
北朝鮮、主要ミサイル発射施設解体か 米サイト分析

米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は、北朝鮮北西部の東倉里にあるミサイル発射施設「西海(ソヘ)衛星発射場」で、主要構造物の解体が始まったとする分析を発表した。北朝鮮の非核化を巡る米朝間の交渉は現在難航しているなかで、金氏がトランプ米大統領との合意を実行する「重要な最初の一歩」で、北朝鮮が合意を守る意思を見せ始めたとの指摘もある。

27日
北朝鮮、米兵遺骨55柱返還 残る約150柱、交渉の材料に

北朝鮮は朝鮮戦争休戦65周年にあたり、行方不明になった米兵の遺骨55柱を米国に返還し、発掘作業の費用を払うよう米側に求めた(米側は拒否)。北朝鮮は今後、残る遺骨約150柱の返還も交渉材料に使いながら、米国に宣言を出すよう求めるものとみられる。

2018年8月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

7月30日
北朝鮮、ICBM開発継続か 米紙報道

ワシントン・ポストは、北朝鮮がミサイルを製造しているとの兆候を米情報当局がつかんでいると報じた。ここ数週間に偵察衛星が撮った写真などによると、ICBM1基か2基を平壌郊外の工場で製造中とみられるという。


ポンペオ国務長官も25日の議会証言で、北朝鮮が核物質の生産を続けているとの見方を示した。寧辺の核施設でウラン濃縮作業が続いているとの報道が出るなど、北朝鮮の核・ミサイル開発が依然続いているとの疑惑が相次いで持ち上がっている。

4日
日朝外相接触、首脳会談へ半歩 北朝鮮に対話意思 拉致解決は見通せず

河野外相はASEAN地域フォーラム(ARF)の機会に北朝鮮の李容浩外相と接触した。北朝鮮の一定の対話意思を確認し、安倍首相が意欲を示す金正恩委員長との会談へ半歩進んだが、日本人拉致問題の解決は見通せない。

6日
北朝鮮に「完全な非核化」促す ARF議長声明

東南アジア諸国連合(ASEAN)は、4日に開かれた「ASEAN地域フォーラム(ARF)」の議長声明を公表し、北朝鮮に対し「約束した通り完全な非核化を実行し、核・ミサイル実験を控えるよう促す」と明記した。日本などが求めていた「検証可能かつ不可逆的な」との文言は中国に近いカンボジアなどの反対にあって盛り込まれなかった。

9日
「米高官が言いがかり」 北朝鮮外務省が米批判談話

北朝鮮外務省は、「トランプ大統領の意思に反して、制裁・圧力に狂奔している」と米政府を批判し、ポンペオ国務長官らが核施設の申告や査察を要求し続けていることに強く反発した。また、「ウラン濃縮施設が稼働しているとの核の謀略資料をでっち上げた」とも指摘し、朝鮮戦争の終戦宣言を先行すべきだとの主張は譲らない考えを示した。

10日
北朝鮮外相「われわれは核技術を保持」 イランメディア報道

北朝鮮の李容浩外相は訪問先のイランで「米国がわが国に対する敵意を捨てることはないと分かっており、われわれは核技術を保持する」と語り、「米国人との交渉は厄介だ。わが国の第一目標は朝鮮半島全体の武装解除であり、米国も約束を順守する必要があるが履行を拒否している」と指摘した。

11日
北朝鮮で日本人男性拘束 経緯や理由、外務省情報収集

北朝鮮で今月、日本人の中年男性1人が現地当局に拘束されたことがわかった。外務省は、拘束の経緯や理由などについて情報を収集しているが、スパイ容疑をかけられている可能性もある。核・ミサイルや拉致問題の進展に向け、日朝首脳会談の実現が模索されるなか、北朝鮮側が対日交渉のカードに使ってくる可能性もあり、日本政府は神経をとがらせている。

13日
南北首脳、9月に平壌で会談 閣僚級で合意

韓国と北朝鮮は、南北首脳会談を9月中に平壌で開催することで合意したが、具体的な日程は合意できなかった。非核化交渉を巡り、北朝鮮は米国に終戦宣言の実現を求めている。米朝協議の停滞を受けて鉄道連結など南北間の経済協力も滞っていることもあり、金正恩氏は首脳会談で文氏に協力の推進を促すとみられる。

17日
謎のシリア人、北朝鮮の武器取引つなぐ 制裁委報告書

国連安保理の北朝鮮制裁委員会は、北朝鮮が最近中東・アフリカ地域に小型武器や軍事設備を輸出したと指摘した。中心人物はシリア人武器ブローカーのアルアリ氏で、北朝鮮とイエメンの武装組織「フーシ」やスーダンなどをつないだとされる。北朝鮮とシリアは近年、反米の立場で連携を強めており、軍事協力が続いていることも確かなようだ。

19日
北朝鮮、1年内の非核化に同意 米補佐官が明かす

ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、北朝鮮の金正恩委員長が4月の南北首脳会談で1年以内の非核化に同意していたことを明らかにした。韓国の文在寅大統領から米側に伝えられたという。文大統領が非核化すれば日本や韓国から支援を受けられるなどの利点を説明し、1年以内の非核化実現を呼びかけると、金委員長も「はい」と同意したという。

23日
米国務長官、来週訪朝へ 正恩氏とは面会せず

ポンペオ国務長官は、北朝鮮を来週訪問すると発表した。通算4回目。膠着状態が続く非核化交渉の打開をめざすが、金正恩委員長との面会の予定はない。ポンペオ氏は空席の北朝鮮担当特別代表にフォード・モーターのスティーブン・ビーガン副社長を起用し、同行することも明らかにした。

24日
米国務長官の訪朝中止 トランプ氏、非核化停滞に不満

トランプ大統領は、ポンペオ国務長官の北朝鮮訪問を中止するよう指示した。理由を「朝鮮半島の非核化に十分な進展がみられないと感じているため」と説明。トランプ氏はこれまで先の米朝首脳会談の成功を誇示してきたが、非核化が停滞していることへの不満を表明した。ポンペオ氏は23日に来週の訪朝を発表したばかりだったが、その翌日に大統領が中止を指示するのはきわめて異例だ。

24日
北朝鮮漁船1085隻に警告 違法操業7月は8割減

海上保安庁は、5月下旬〜8月24日までに日本海のイカの好漁場「大和堆」周辺海域の排他的経済水域(EEZ)で違法操業する北朝鮮漁船延べ1085隻に対し、退去警告したと発表した。7月のスルメイカ漁期では前年同期に比べ、約8割減少した。北朝鮮漁船の違法操業を監視し、日本漁船の安全を確保する狙いがあり、海保の警戒活動が効果を上げた可能性がある。

25日
はげ山と洪水は日本の犯罪? 北朝鮮が不当な弁済要求も

北朝鮮は、1970年代に金日成主席が行った耕地拡大のための大規模な森林伐採を、朝鮮半島統治時代に「日本が行った略奪行為」と断じ、日本に弁済を要求している。金主席の耕地拡大は、土留めを造っておらず斜面は崩壊。土砂が流され、85年以降水害が顕在化し続けた。将来の日朝国交正常化交渉で、北朝鮮は責任を転嫁して日本に不当な要求をする可能性もある。

26日
北中央通信「抑留日本人、人道主義原則よって寛大に許し追放」

朝鮮中央通信は、「日本人観光客を人道主義原則に則って寛大に許し、共和国外に追放する」と伝えた。 朝日新聞は、当該者を滋賀県出身の39歳の映像クリエイター・スギモト氏で、南浦で軍事施設を撮影したことからスパイ容疑で取り調べを受けたと推定されると伝えた。


これに先立ち、北朝鮮は不法入国で拘束していた30代の韓国男性1人を、「人道主義的原則により」板門店から韓国側に引き渡していた。

27日
金正恩氏、国内視察に奔走 経済低迷に焦り

金委員長は、初の米朝首脳会談から2カ月半、米国との非核化交渉の表舞台を避けて工場や農業施設など国内の現地視察に奔走している。背景には長年の経済の低迷があり、国連の統計によると北朝鮮のGDPは鳥取県とほぼ同規模とされ、金正恩氏にとっては、経済を成長させて市民生活を改善させなければ長期の独裁政権の維持は危うい。

28日
北朝鮮が拘束邦人を解放 北京到着、政府が経緯調査

北朝鮮に拘束されて国外追放処分を受けた日本人の男性が28日午前、北朝鮮を高麗航空機で出国し、経由地の中国の北京空港に到着した。同日午後にも帰国するとみられる。日本政府関係者によると、北京の日本大使館員が接触しており、拘束された経緯などを聞き取っている。

28日
日朝が7月に極秘接触か ベトナムで 米紙報道

ワシントン・ポストは、日本と北朝鮮の政府当局者が7月にベトナムで秘密裏に接触していたと報じた。北村滋内閣情報官と北朝鮮のキム・ソンヘ統一戦線策略室長が出席したとされ、日本人拉致問題などを協議した可能性がある。ただ、日本は米国に事前に伝えていなかったため、米政府高官が不快感を示しているという。日本の政府当局者は同紙に対し、拉致問題の解決にあたってはトランプ政権だけを頼りにすることはできないと語った。


6月のシンガポールにおける米朝首脳会談の直前に、ワシントンで開かれた日米首脳会談で、トランプ大統領が安倍首相に「(太平洋戦争の発端となった)真珠湾攻撃のことを忘れない」と発言し、対日貿易赤字に不満を示した。そのうえで、米国がより牛肉や自動車を輸出しやすくするよう2国間の通商交渉に応じるよう求めた。


シンガポールにおける米朝首脳会談について、それまでに安倍首相は電話などでトランプ氏に、北朝鮮が非核化の具体的な行動をとるまでは米韓合同軍事演習を停止したり、朝鮮戦争の「終戦宣言」に応じたりしないよう助言していた。しかし、トランプ氏はそうした助言につれない反応だったという。

29日
北朝鮮密輸船か 日本寄港、16年以降25回も

北朝鮮産の石炭の密輸に関わった疑いがある貨物船4隻が、2016年3月以降、日本に合計25回寄港していることが、国際組織「東京MOU」の調査で分かった。寄港は国連安保理による北朝鮮の輸出制限が始まった後で、今年3月に国連に制裁違反の疑いを指摘されて以降も日本に複数回寄港しており、日本の取り締まりの網をくぐり抜けていた可能性がある。

29日
米、非核化で中国に圧力 「北朝鮮に援助」非難

トランプ大統領は、停滞している北朝鮮の非核化交渉に関連して「中国は北朝鮮にとてつもない圧力をかけている」として中国を非難する声明を発表、激しさを増す米中貿易戦争が背景にあると指摘した。6月の米朝首脳会談を受けて中止している米韓合同軍事演習を再開する場合は「かつてなく大規模」になるとも述べ、北朝鮮をけん制した。

2018年9月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

9月4日
習氏、訪朝見送り 建国70年行事に側近派遣

中国共産党は、9日に予定する北朝鮮の建国70年記念行事に、党序列3位の栗戦書氏を派遣すると決めた。北朝鮮をめぐっては、貿易戦争が泥沼化する中でトランプ米大統領は中朝の接近に不満を表明。中国は最高指導者である習氏が米国を刺激してまで訪朝する必要はないと判断したもようだ。


5日
英軍、最大艦派遣で見せた有事の行動力

今夏、英海軍の艦艇としては最大の揚陸艦アルビオンが日本に寄港した。北朝鮮の密輸の監視活動を担うとともに、日本と英国の安全保障面での連携を強化するというのが英政府の公式見解だが、同艦の派遣にはもう一つの隠れた目的があった。朝鮮半島情勢の急激な悪化に備え、万一の際には韓国にいる英国人を救出するという任務だ。先を見通し、事態急変にしっかり「保険」をかける英国の手法には日本も学ぶべき点が多い。

6日
南北首脳9月18日に会談 正恩氏「非核化意思を再確認」

北朝鮮の金正恩委員長と会談した韓国大統領府特使は、南北首脳会談を9月18日から平壌で開催すると明らかにした。金正恩氏が朝鮮半島の非核化への意思を再確認し、トランプ氏の1期目の任期内に非核化を実現したい考えを示したと説明、また、金正恩氏は朝鮮戦争の終戦宣言に関して「韓米同盟の弱体化や在韓米軍の撤収とは全く関係がない」などと話したという。

6日
米政府 北朝鮮ハッカーを初の訴追 サイバー攻撃関与

米司法省は、2014年のソニー米映画子会社を標的とした案件など複数のサイバー攻撃に関与したとして、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」のメンバー1人を訴追し、この人物と所属先の企業を制裁対象に指定した。FBIは「この世界規模での破壊的な活動の背後には、北朝鮮政府がいる」と非難した。

9日
北朝鮮がICBM抜きの軍事パレード トランプ氏評価

北朝鮮は、建国70年の祝賀行事を開催した。7カ月ぶりとなる軍事パレードではICBMや中距離ミサイルを登場させず、前回よりも抑制的な内容にとどめた。非核化問題で対話を続ける米国に配慮したとみられる。トランプ米大統領は9日、ツイッターで「とても前向きな意思表示だ。ありがとう、金委員長」と評価した。

10日
金正恩氏、トランプ氏との再会談を打診 米、開催に向け調整

ホワイトハウスは、金正恩委員長がトランプ米大統領にあてた書簡で2回目の米朝首脳会談の開催を要請、年内にも開かれる可能性があるとした。米朝首脳の再会談が実現すれば、6月にシンガポールで開催されて以来。ただ、米政府内には金委員長が非核化に本気で取り組むのか疑念も強く、開催に慎重論もある。

11日
極秘の金正恩氏暗殺訓練も トランプ政権の内幕本発売 ホワイトハウスの混乱描く

著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏がトランプ米政権の内幕を描いた「恐怖 ホワイトハウスのトランプ」が、全米で発売された。ホワイトハウスの混乱ぶりを描いているとして出版前から話題を呼んでいる。内容はトランプ氏の奔放な言動と、それを何とか制御しようと苦心する周辺の動きが軸だ。


政権が北朝鮮の核問題への対処に苦心している様子もうかがえる。北朝鮮の指導層への限定攻撃のオプションが取り沙汰されるなかで、17年10月には米空軍が中西部ミズーリ州で金正恩委員長を暗殺する訓練を極秘に実施した。ただ、この訓練では爆撃機などからの交信が周辺の住民に漏れる事態がおきた。

18日
安保理、北朝鮮の制裁回避巡り米ロ対立

国連安保理は、北朝鮮の制裁を巡って圧力を堅持したい米国と、北朝鮮を支援し影響力を強めたいロシアの対立が激しさを増している。米国のヘイリー国連大使は、北朝鮮が少なくとも148回の瀬取りで上限より6割多い80万バレルを輸入したと主張して、石油精製品の輸入を大幅に増やしていると指摘した。一方、ロシアは、公平なロシアの見方を妨害していると反論した。

18日
韓国大統領が訪朝、金正恩氏が出迎え 首脳会談へ

韓国の文大統領は、北朝鮮の金委員長と今年3回目の南北首脳会談に臨むため、専用機で平壌入りした。南北首脳会談の焦点は、平行線をたどっている非核化の実行に向けた具体策だ。文氏は、来週のトランプ大統領との会談を前に、非核化の進展と終戦宣言への道筋を描きたい考え。文氏の訪朝にはサムスン電子副会長ら韓国四大財閥のトップ級を含む約200人が同行した。

19日
核施設廃棄は「米国次第」 南北首脳が合意文書署名

平壌を訪問中の文在寅大統領は、金正恩委員長と合意文書に署名した。北朝鮮側は非核化を巡り、「米国が相応の措置を取るならば」寧辺の核施設を「永久放棄」する用意があると表明。東倉里のミサイルエンジン試験場の廃止を改めて宣言した。南北の経済協力について、鉄道と高速道路の連結事業、中断中の開城工業団地や金剛山の観光事業の再開、経済共同特区の創設、2032年夏季五輪の南北共同開催も盛った。

19日
米朝外相会談のニューヨーク開催を打診 ポンペオ氏

ポンペオ国務長官は、南北首脳会談の「成功」を受けて米朝外相会談を打診した。停滞している非核化交渉の加速に意欲を示し、「21年1月までの北朝鮮の急速な非核化プロセスを通じ、米朝関係を改善する交渉の始まりとの位置づけだ」と説明した。トランプ大統領の任期である21年1月までの非核化完了は「金正恩氏が約束した」とも指摘した。

20日
南北首脳、白頭山を訪問 北朝鮮の「聖地」

北朝鮮を訪問中の文大統領と北朝鮮の金委員長は、中朝境界にある「白頭山」に登った。韓国の大統領が白頭山を訪ねるのは初めてとみられる。白頭山は朝鮮民族の建国神話の発祥地とされ、故金日成主席が抗日パルチザン闘争を繰り広げた「聖地」に位置づけられている。南北が共闘しやすい日本を巡る歴史問題を念頭に置き、団結を強化する狙いとみられる。

20日
米朝、非核化交渉再開へ調整 南北合意の認識にズレも

文在寅大統領の北朝鮮訪問が終わり、非核化協議の舞台は再び米朝に移る。しかし、核施設への査察などを巡る認識のズレも露呈しており、非核化の進展に結びつくかは予断を許さない。

1 寧辺核施設の「永久的廃棄」に関して、ポンペオ氏は「米国とIAEAの査察官の立ち会いのもとになされる」と断言した。実際の合意文書にこうした文言はない。

2 非核化の完了期限について、ポンペオ氏は声明で、トランプ氏の任期である「2021年1月まで」と金正恩氏が約束していると説明。今回の文書や記者会見では触れられていない。


ポンペオ氏は「報道されないが、私は交渉相手と頻繁に話をしている」と語ったが、「口約束」は今後の混乱要因となる懸念をはらむ。会談の結果を見る限り、北朝鮮が核弾頭や弾道ミサイルの廃棄に踏み込むそぶりは見せなかった。完全な核放棄への意思には疑念がつきまとう。

23日
北朝鮮非核化へ日米連携 首相、国連総会へ出発

安倍首相は、国連総会出発に先立って米朝が非核化を巡る協議を再調整し始めた動きを歓迎し、「日朝の間でも、今までの相互不信の殻を打ち破り、拉致問題の解決に向けて大きく踏み出さなければならない」と強調、一方で北朝鮮が非核化に向け具体的に行動するまで、朝鮮戦争の終戦宣言に応じるべきでないとの認識をトランプ氏と共有したい考えだ。国連安全保障理事会の制裁決議を維持する方針も申し合わせる。

24日
米朝再会談「近く発表」米韓首脳、終戦宣言も議論

トランプ大統領と文在寅大統領は、2回目の米朝首脳会談の開催へ緊密に協力する方針を確認し、朝鮮戦争の終戦宣言を巡っても議論した。文氏は20日の記者会見で、南北が考える終戦宣言は「国連軍司令部や在韓米軍の駐留問題には全く影響がない」との考えを示していた。韓国大統領府関係者は、北朝鮮への経済制裁を継続する一方、北朝鮮が非核化の意思を持続できる方法に関しても協議したという。

25日
「非核化にはまだ多くの作業」 トランプ氏、国連で演説

トランプ大統領は国連総会で、対中強硬姿勢を今後も譲らない方針を鮮明にしたほか、北朝鮮に関しては、核実験や弾道ミサイル発射といった挑発行為がなくなったことを成果として誇示。6月の初の米朝首脳会談を「とても生産的な対話だった」としながらも、非核化には「まだ多くの作業が残っている」と指摘し、その達成に向けて制裁を続ける考えを示した。

25日
金正恩氏「適切な時期に日本と対話」 文大統領、安倍氏に

安倍首相は、韓国の文在寅大統領とニューヨークで会談、文氏は先の南北首脳会談で金正恩委員長から「適切な時期に日本と対話し、関係改善を模索していく用意がある」との発言があったと首相に伝えた。日本政府の説明によると、首相は南北会談にあたり、文氏に日本人拉致問題の解決の重要性や日朝関係に関する考え方の伝達を依頼していた。

25日
「金正恩氏と直接向き合う」 首相が国連演説

安倍首相は国連総会で、「北朝鮮との相互不信の殻を破り、新たなスタートを切って、金委員長と直接向き合う用意がある」と強調した。日本人拉致と核・ミサイルの問題を解決して北朝鮮と国交を正常化する方針を改めて説明し、「北朝鮮が持つ潜在性を解き放つため助力を惜しまない」とも語った。今回は米朝などの対話の流れに配慮し「圧力」の言葉は用いなかった。

26日
ポンペオ氏、10月に再訪朝 米国務省発表

ポンペオ国務長官は、北朝鮮の李容浩外相と会談し、トランプ大統領と金正恩委員長の2回目の会談や非核化などを巡り協議した。米国務省は同日、金正恩氏の招待を受けてポンペオ氏が10月に平壌を訪れると発表した。北朝鮮の非核化と朝鮮戦争の終戦宣言を巡ってどのような合意が可能かを探る。

26日
非核化期限、重要視せず トランプ氏が認識

トランプ大統領は、記者会見で、「2年だろうが3年だろうが5カ月だろうが、それは重要ではない」と述べ、北朝鮮の非核化の期限についてこだわらない考えを示した。トランプ氏は「北朝鮮の金正恩委員長とは良好な関係にある。私が大統領に選ばれていなければ、戦争になっていたかもしれない」と述べ、6月の米朝首脳会談の成果を改めて誇示した。

26日
日朝外相、3年ぶりに会談 拉致問題議論か

河野外相は国連本部で北朝鮮の李容浩外相と約20分間会談した。河野氏は会談の内容を明らかにしなかった。北朝鮮による日本人拉致問題に関する日本の立場を伝えたとみられる。河野氏が首脳会談の可能性を探った可能性もある。

29日
正恩氏と「恋に落ちた」

トランプ大統領は、地方遊説で金委員長との良好な関係を熱烈にアッピールした。昨年からの関係を「我々は行ったり来たりしていた」と振り返り、「そして我々は恋に落ちたんだ」と述べ、2回目の首脳会談開催を要請する金委員長からの一連の書簡に満足していることを表した。

29日
北朝鮮外相「先に非核化せず」、終戦宣言など要求

北朝鮮の李容浩外相は、国連総会で、核実験やミサイル発射を停止したにもかかわらず「米国からは相応の反応がない」と批判した。「米国との信頼なくしては国家の安全保障に自信を持つことはできず、先に一方的に武装解除することは断じてない」と強調。朝鮮戦争の終戦宣言を通じた体制の保証を要求し、非核化措置の先行を否定した。


李外相は、昨年の国連総会の演説では、緊張が高まっていた米国への先制攻撃を示唆していたが、今回の演説では、2回目の米朝首脳会談実現に向けた配慮をにじませてトランプ大統領への直接の批判は避けた。北朝鮮の狙いは、融和的な姿勢を印象付けて各国を取り込み、米朝対話を有利に進めることにある。

2018年10月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

10月3日
北の核リスト申告延期を 韓国外相、米に譲歩求める

韓国の康外相は、米国が北との非核化交渉で求めている核リストの申告は先延ばしにすべきだと述べた。北朝鮮の主張に沿って米国の譲歩を求めたものだ。康氏は、米国が朝鮮戦争の終結宣言などに応じる対価として北朝鮮が寧辺の核施設を廃棄すれば「非核化に向けた大きな進展となる」と語った。

  参考:文在寅大統領の南北融和路線

6日
米朝首脳会談、早期開催を確認 ポンペオ氏と正恩氏協議

ポンペオ国務長官は7月以来3か月ぶりに北朝鮮を訪問し、金正恩委員長と会談した。2度目の首脳会談を早期に開催することを確認し、実務交渉団を立ち上げて協議することで一致した。金正恩氏は豊渓里核実験場に査察官を招くとポンペオ氏に伝えた。米外交筋は、訪朝の成果について「前回よりもよかった」と指摘したが、「長期にわたる仕事になる」と語った。

7日
金正恩氏、拉致問題に無回答 米が安倍首相の意向伝える

ポンペオ国務長官は日本人拉致問題を取り上げたが、金正恩委員長から返答がなかったと、米朝関係筋が明らかにした。北朝鮮は、当面の間、日朝首脳会談に応じる考えはないとみられる。同筋によると、正恩氏は9月の南北首脳会談でも、日朝首脳会談に消極的な姿勢を示したとされる。李容浩外相も、9月末にニューヨークで会談した河野太郎外相に、日朝首脳会談を急いで行う考えはないという趣旨の話を改めて伝えている。

8日
「拉致問題は正念場」菅氏、被害者家族と面会

拉致問題相を兼務する菅官房長官は、拉致被害者家族を支援する集会に参加した。「拉致問題はいまがまさに正念場だ。一日も早いすべての拉致被害者の帰国の実現に向け、あらゆるチャンスを逃さない」と決意を示した。今月の内閣改造後、菅氏が拉致問題の集会に出席したのは初めて。

8日
正恩氏「核リスト申告拒否」 日米韓協議筋が明らかに

ポンぺオ長官と会談した金委員長は、「核リストの一部でも提出してほしい」と求めたポンぺオ氏に対し、「信頼関係が構築されていない状態で提出しても、米国は信用できないというだろう。再申告を求められれば争いになる」として拒否し、「米朝間の信頼構築がまず必要だ」と語った。また、朝鮮戦争時の米兵の遺骨を返還したことに応えるために、米国は経済制裁を解除すべきだと主張した。

ポンぺオ氏は、寧辺の核施設の廃棄だけでは終戦宣言に応じられない。生物・化学兵器を含む大量破壊兵器の除去を求めた上で、ICBM、移動式発射台の一部でも廃棄もしくは国外搬出すれば、「終戦宣言など北朝鮮が納得する行動をとる」と述べたという。

  参考:対北朝鮮で「内部分裂」に陥ったトランプ政権

15日
南北閣僚級会談 平壌共同宣言の履行協議

韓国統一省は、「9月平壌共同宣言」で決めた南北関係を新たな高い段階へ進展させのための閣僚級会談を板門店で開催した。韓国と北朝鮮は、南北の鉄道・道路の連結・現代化事業のための着工式を11月末〜12月上旬に行うことを決めた。

しかし、鉄道や道路の連結事業に必要な資機材を北朝鮮に運び込むことは国連制裁に抵触する可能性がある。また、米国は制裁の緩みにつながると懸念しており、着工式後、工事がいつ始まるかは見通せない状況だ。

19日
米韓空軍演習を中止 米朝首脳会談を後押し

米韓両空軍は、12月に予定していた定例の合同軍事演習を中止することで合意した。米朝は2回目の首脳会談を調整しており、北朝鮮の反発を避けて非核化交渉を優先する狙いがある。中止するのは定期合同演習「ビジラント・エース」で、2017年には最新鋭ステルス戦闘機F35など約230機の航空機が参加して「史上最大の規模」で実施した。

22日
板門店一帯、重火器を撤収

9月の南北国防相の合意書に基づき、板門店を「非武装化」して緊張緩和につなげるため、今月25日までに板門店一帯の監視所や重火器を互いに撤収する。なお、今月初めに開始した板門店の地雷撤去作業は終了した。

22日
「和平に干渉」北、米を非難

北朝鮮の祖国平和統一委員会ウェブサイト「わが民族同士」は、韓国の康京和外相が韓国独自の対北朝鮮制裁の解除を検討すると発言したこに対して、トランプ大統領が「米国の承認なしにはしないだろう」と述べたことを非難した。

サイトは「民族和解と平和のための努力に対する露骨な干渉だ」と指摘して、米国が韓国の対北経済協力を阻止しないようけん制した。

24日
ぜいたく品の輸入、正恩体制下4500億円

北朝鮮が金正恩体制下の2012〜17年に中国から輸入した貴金属や酒類などのぜいたく品が、40億ドル(約4500億円)余りに上った模様だ。正恩氏は16年5月の朝鮮労働党大会の際、高級幹部約100人にスイス製高級腕時計を贈った。

また、昨年のぜいたく品購入額の約6億4千万ドル(約720億円)はコメ165万トン分に相当しており、ほぼ同じ期間の北朝鮮の食糧不足量約80万トンの2倍にあたる。韓国政府によれば、北朝鮮のガソリンやコメの市場価格、為替レートに大きな変動は見られないため、北朝鮮が依然、十分な外貨を保有しているとみている。

30日
韓国大法院、新日鉄住金に対し元徴用工への賠償を命じる

韓国の大法院は、元徴用工4人が新日鐵住金を相手に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、同社の上告を退け、1人当たり1億ウォン(約1000万円)の支払いを命じた。

安倍首相は「本件は、1965年の日韓請求権協定によって、完全かつ最終的に解決しており、国際法に照らしてあり得ない判断だ」と語った。日本国内では韓国への強い批判が起き、日韓関係の基盤を揺るがしかねない判決という指摘が出ている。

韓国では日本企業に対する同様の訴訟が10件以上起きており、今後、相次いで原告勝訴の判決が出る可能性が高く、さらに新たに訴訟に踏み切る人たちが出てくる可能性もある。

2018年11月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

11月2日
日韓の特許庁会合中止
 日本側申し入れ

韓国大法院が元徴用工への損害賠償を命じた判決を受け、日韓特許庁長官会合が日本側の申し入れにより延期された。特許庁長官会合は毎年1回開かれており、今年で30回目だった。

両国は日程を再調整しているが、見通しは立っていない。判決が出てから日韓関係は悪化しており、今後も両政府で予定されている様々な協議に影響を与えそうだ。

11月7日
米朝首脳会談「来年初め」

トランプ大統領は記者会見で、北朝鮮が求めている経済解除について「北朝鮮も対応しなければならない。双方向だ」と述べ、非核化が実現するまで制裁を継続する考えを示した。一方で、金委員長との2回目の会談については初めて「来年の初めに行う」と言及した。

8日
北朝鮮、米朝高官協議を延期

ニューヨークで開催予定だった米朝高官協議が延期になった。北朝鮮側は理由を「日程が立て込んでいる」としたが、米国が対北制裁を堅持していることへの不満に加えて、協議直前にポンぺオ国務長官が交渉相手を金英哲党副委員長から李容浩外相に交代するよう求めたことに対する反発だという。

ポンぺオ氏は、これまでの交渉で金正恩氏と金英哲氏との話に食い違いがあった。金英哲氏は軍出身で一方的な主張を押し通す傾向があるため、対話の障害になると判断したもよう。

11日
米朝、首脳再会談の見通し立たず 南北協力にも影

金正恩氏は見返りとして朝鮮戦争の終戦宣言、経済制裁の解除を要求しているが、豊渓里の核実験場や、東倉里のミサイルエンジン試験場への査察団の権限などで折り合えておらず、米朝協議は1か月以上滞っている。

一方、9月の南北首脳会談で、金正恩氏は年内のソウル訪問を約束したが、米朝協議の足踏みにより南北関係の行方も展望が見えない。

11日
韓国、北朝鮮にみかん200トン マツタケの「お礼」

韓国大統領府は、南北首脳会談のさい金正恩委員長から贈られたマツタケ2トンのお返しとしてみかん200トンを贈る。韓国は10年3月の海軍哨戒艦沈没への報復として南北間の経済取引を禁じているが、「マツタケの返礼であり、違反ではない」としている。

11日
北朝鮮、徴用工訴訟判決への日本の反応を「厚顔無恥」と非難

北朝鮮は、徴用工訴訟に関する韓国大法院の確定判決を支持し、判決について「あり得ない判断だ」と述べた安倍首相を呼び捨てにし、日本政府を「厚顔無恥」と非難した。

また、「わが民族は日本の謝罪と賠償を百倍千倍にする」とも訴えており、北朝鮮が、今後日本の朝鮮半島統治への賠償要求を強めることは必至だ。日朝は2002年の平壌宣言で、国交正常化交渉における請求権放棄の基本原則を合意している。

11日
北朝鮮に新たな「少女像」設立の予定

韓国の挺身隊問題対策協議会は、北朝鮮との連携強化のため北朝鮮に「平和の碑」(少女像)を建てることを提案している。北朝鮮の慰安婦問題の窓口は、「朝鮮日本軍性奴隷および強制連行被害者問題対策委員会(朝対委)」で、52人の元慰安婦が名乗り出たが、現在は全員、鬼籍に入っている。

12日
北朝鮮のミサイル施設13カ所を特定 米研究機関

米国の戦略国際問題研究所は、北朝鮮が公表していない約20カ所のミサイル関連施設のうち、13カ所の場所を特定したと発表した。これらの施設の存在は米情報機関も把握しているとみられる。北朝鮮は9月に東倉里のミサイル施設を廃棄すると表明したが、その他のミサイル基地の廃棄に関しては触れていない。

15日
ASEANでも北朝鮮焦点 制裁、日米と韓国に温度差

シンガポールで開かれている ASEANの首脳会議で、北朝鮮の核問題も議論された。非核化の実現までの制裁を主張する米国や日本に対し、中ロ韓は緩和を訴えた。米国や日本は安保理決議の完全履行で一致するのに対して、韓国の文在寅大統領は、北朝鮮との対話継続に理解と支持を求め、日米と韓国の間に溝が広がる恐れがある。

15日
米朝首脳再会談、核廃棄計画の合意が不可欠 ペンス副大統領

ペンス米副大統領は、2度目の米朝首脳会談では、すべての核・ミサイル兵器や関連施設の特定や公表を含む「検証可能」な合意が必要となるとの見解を示した。兵器や核施設の完全なリストの提出を再会談の前提条件にはしない考えを示唆しつつも、再会談の場での核廃棄への十分な進展を求める考えを強調し、「いま我々は成果を必要としている」と語った。

16日
韓国、慰安婦財団を解散へ 日本政府にも伝達

韓国政府は、従軍慰安婦問題に関する「和解・癒し財団」を解散する方針を決め、日本政府にも伝達した。日本が財団に拠出した10億円の扱いや解散の理由次第では、元徴用工訴訟で生じた日韓の亀裂を一段と広げる可能性がある。解散の時期については現時点では流動的だという。

17日
日韓経済界、徴用工で交流延期 商工会議所

日本と韓国の商工会議所が11月中に韓国の釜山で開催する予定だった「日韓・韓日商工会議所首脳会議」が延期され、事実上の中止となった。韓国大法院の判決を会議で取り上げるかを巡り、日韓の意見が折り合わなかった。

徴用工問題の影響が経済界にも及んだ。

17日
習氏、19年訪朝の意向 中韓首脳会談で文氏に伝達

中国の習近平国家主席と韓国の文在寅大統領は、APECの首脳会議に合わせて会談した。韓国大統領府によると、習氏は北朝鮮の金正恩委員長の招待に応じて、2019年に国家主席就任後初めて平壌を訪問する考えを明らかにした。習氏は19年にソウルを訪ねる意向も表明した。

また、日本が関係する歴史問題も議論、日本の植民地時代に独立運動の拠点だった重慶の「大韓民国臨時政府」について、文氏は「来年は樹立100年になる」とし、史跡の保存に関して中国の協力を求めた。習氏は「積極的に支援する」と応じたという。しかし、中国側の発表では、歴史問題に触れていない。

20日
カナダで歴史教材の旭日旗を撤去 韓国系生徒が署名活動

カナダのラングリー市の中高一貫校で、韓国系の生徒が、歴史の教材として教室の壁に貼られていた旭日旗の撤去を求める署名活動を行い、学校側が旗を撤去した。同校では、歴史勉強のため旭日旗を使用していたが、教室の外から見かけた韓国系の生徒が「不快」と撤去を訴え、インターネット上で署名活動を行って2日間で1万近くの署名を集めた。

21日
韓国政府、慰安婦財団の解散発表 日韓合意の無効化狙う

韓国政府は、日韓合意に基づいて設置した「和解・癒し財団」を解散すると発表した。同財団は、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決をうたった合意の柱で、合意の骨抜きが狙い。

日本政府の意向に反する一方的措置で、日韓の関係悪化は不可避だ。

23日
米国務省、日韓に連携促す声明 慰安婦財団の解散で

米国務省は、韓国政府が「和解・癒し財団」の解散と事業終了を発表したことについて、日韓両政府に相互信頼を高めて連携して対処するよう促した。

トランプ政権は北朝鮮の完全非核化を目指して日米韓3カ国の結束を重視している。

24〜26日
韓国海洋調査船 竹島周辺の領海に侵入

韓国の海洋調査船が海洋調査のため竹島周辺の日本領海に侵入した。政府は外交ルートで韓国政府に抗議した。

26日
韓国国会議員竹島上陸 外務省が外交ルートで抗議

韓国の国会議員らは韓国政府が用意したヘリを使用して竹島に上陸した。日本の外務省は、金杉アジア大洋州局長が在日韓国大使館の金敬翰次席公使に「到底受け入れることはできない」として強く抗議した。在韓国日本大使館の水嶋光一総括公使も、韓国外務省の金容吉東北アジア局長に強く抗議し、再発防止を強く求めた。

26日
河野外相「交渉維持のため駐韓大使はこのまま置く」

河野外相は、衆院予算委員会で、韓国大法院判決について「国交正常化以来の日韓両国の法的基盤を根本から覆す」と批判したが、ハイレベルの交渉を維持するため、駐韓大使の一時帰国などの措置はとらない考えを示した。

また、河野氏は韓国大法院判決について、韓国側の対応次第では国際司法裁判所(ICJ)への提訴も視野に入れていることを重ねて強調した。

29日
元徴用工・挺身隊訴訟、三菱重工に賠償命令 韓国最高裁

韓国人の元徴用工や元朝鮮女子勤労挺身隊員が三菱重工業に損害賠償を求めた2件の上告審で、韓国大法院は日本企業への賠償命令を確定した。新日鉄住金に続き2社目。

同日午後には、ソウル中央地裁が新日鉄住金を相手取った別の訴訟の二審判決を言い渡す。

更に、12月には元挺身隊員の女性らが三菱重工を訴えた訴訟の判決が光州高裁などである。

29日
新日鉄住金が二審も敗訴 元徴用工巡る別の訴訟

韓国人元徴用工の遺族3人が新日鉄住金に損害賠償を求めた控訴審で、ソウル中央地裁は、同社に1億ウォン(約1千万円)の支払いを命じた一審判決を支持し同社の控訴を棄却した。新日鉄住金を相手取った訴訟を巡っては、別の元徴用工4人への賠償を命じる判決が10月30日に確定している。

29日
日本「対抗措置」に言及

韓国大法院判決から約1か月が経ったが、韓国政府は李首相を中心に検討中としたまま、文大統領も言及を避けている。

日本政府は、国際法違反の状態を放置する韓国政府への批判を強めており、河野外相は「国際裁判や対抗措置も含め毅然とした対応を講じる」と言及し、日本企業の資産が韓国で差し押さえられた場合、日本国内の韓国側の資産を差し押さえる対抗措置の検討に入った。この措置は国連が条件付きで認めているもので、実現のハードルは高いが、強硬手段をちらつかせて韓国政府に対応を迫る思惑がある。

一方、日本側とすれば、北朝鮮の非核化や拉致問題もあり韓国との深刻な対立は避けたいとのジレンマを抱える。当面、駐韓大使については、日本企業保護のための現地交渉などのため、一時帰国などの措置は取らない。

30日
南北の鉄道連結を目指す…北で現地調査始まる

調査に必要な資機材の搬入が、国連制裁の例外として認められたことを受け、韓国と北朝鮮は、南北の鉄道を連結させるための現地調査を北朝鮮で開始し、12月17日まで実施する。文政権は、朝鮮半島に新たな経済圏を作り、半島縦断鉄道を中国やロシアとつなげて経済発展を目指す考えだが、調査後の工事自体は、制裁の例外対象に含まれておらず、工事の開始時期は不透明だ。


2018年12月

色の説明 :北朝鮮事象  韓国事象  半島全般事象   その他の事象  

12月1日
文大統領「日韓、未来志向に」…徴用工判決念頭

韓国の文在寅大統領は、韓国メディアに「歴史問題によって韓日の協力関係が損なわれてはならない。未来志向的な協力を」と述べた。韓国大法院の賠償判決確定以降、文氏は徴用工問題への言及を避けている。今回の発言でも徴用工判決そのものには直接触れなかった。

安倍首相と文氏はG20首脳会議の際は会談を行わなかったが、挨拶を交わしたものの握手はしなかった。

12月1日
米朝再会談「19年1月か2月」、トランプ氏

トランプ米大統領は、金正恩委員長との2回目の首脳会談の開催時期が2019年1月か2月になる可能性があるとの見通しと会談場所は3カ所が候補に挙がっていると明らかにした。金委員長を米国に招待したい考えも改めて示した。

2日
正恩氏の訪韓「年内は困難」…韓国要請に返答

韓国政府が、金正恩委員長の12月中旬の訪韓を要請したものの、北朝鮮側が「年内は困難」と回答していた。米朝協議の行き詰まりで訪韓に見合う対価を得られないことが理由という。

文氏はG20首脳会議時のトランプ米大統領との会談で、南北経済協力の支持を取り付けようとしたが失敗した。トランプ政権は、文氏が北朝鮮事業などに前のめりになっていることに強い警戒感を抱いている。北朝鮮が非核化措置で譲歩することがない限り、正恩氏の年内訪韓も来年初めの米朝首脳会談も実現は望み薄だ。

3日
前最高裁判事の逮捕状請求=韓国検察

元徴用工の賠償請求訴訟をめぐり、朴槿恵前政権の意向をくんで最高裁が判決を先送りしたとして、ソウル中央地検は朴炳大・前最高裁判事ら前判事2人を職権乱用などの容疑で逮捕状を地裁に請求した。最高裁判事経験者の逮捕状請求は韓国憲政史上初となる。

朴炳大氏は、昨年まで最高裁判事と法院行政庁長官を兼任しており、朴前政権の意向を汲んで、判決を先送りした疑いがあり、被告の日本企業側とも接触していた疑惑もあると報じられている。

(7日 ソウル中央地裁は、朴炳大前大法院判事に対する検察の逮捕状請求を棄却した。)

4日
徴用工判決に 自民党外交部会で強硬論続出

自民党は、外交部会や特命委員会などで、韓国最高裁の徴用工賠償を命じた判決への対応を協議した。出席者からは「駐韓大使召還などの措置」「具体的な手を打て」などと厳しい意見が相次いだ。中曽根弘文特命委員長は会合で「具体的な対応をしていかないと、このままでは解決しない」と早急な対応を求めた。

4日
元徴用工訴訟、資産差し押さえも 期限は24日

韓国大法院による判決を受けた原告側弁護士は、24日午後5時までに新日鉄住金が協議に応じない場合、韓国で同社資産の差し押さえの手続きを始める考えを明かした。差し押さえの対象として新日鉄住金が持つ株式と知的財産権をあげた。元徴用工の訴訟を巡っては、日韓両国の政府と企業が基金をつくる案も浮上している。

(24日 原告側は、指定した期限になったが「強制執行手続きは、あくまで協議実現のためであり、協議による問題解決を望んでいる」と述べた。)

5日
やる気も能力もなし
日韓外交を放棄した韓国

光州高裁は、三菱重工の控訴を棄却し賠償金の支払いを命じた。更に、日本企業に賠償提訴ができる期限について、10月30日の大法院判決を起点に最長3年とする判断を示した。このため新日鉄住金、三菱重工に続き今後さらに新たな訴訟が起きる可能性ができた。

文政権は「司法の判断を尊重する」とするだけで、政府としての立場を明らかにしていない。また、日本通の李洛淵首相も何の対策も打ち出せていない。

韓国外務省ジャパンスクールの凋落

5日
新たなミサイル施設、米朝会談後も建設…CNN

衛星写真を分析した結果、北朝鮮が6月の米朝首脳会談後も、山岳地帯にあるミサイル基地で新たな施設の建設を続けていると判明した。ミサイルの収納用とみられる非常に巨大な地下施設で、秘匿する作業も行われていたという。

既存の基地から約10キロ・メートル離れた場所で、今年8月時点でも建設していた。核弾頭を搭載し、米本土を攻撃可能な長距離弾道ミサイルの発射拠点となる可能性もあると指摘している。

6日
「反日の対価は高くつく」韓国紙、文政権批判も

徴用工訴訟に関して日韓の対立が激化する中、文政権の対策の遅れを批判する韓国紙が目立ってきた。支持率が低迷する文政権の関係者が釈明に追われる事態となっている。

韓国主要紙の報道内容

7日
金正恩氏の来週訪韓を再打診 韓国

韓国大統領府は、金正恩委員長の今月中旬のソウル訪問を再打診した。朝鮮日報は、12〜14日の日程で招待していると報じた。既に北朝鮮側からは延期の回答があったが、文大統領がトランプ氏の理解を得たうえで再び働きかけたという。

元韓国政府高官は「韓国には保守系団体のデモもある。歓迎一色のムードを演出できない中で北朝鮮指導者が来るのは難しいだろう」と指摘する。

12日
徴用工判決「受け入れられない」 日韓外相電話会談

河野外相は、韓国の康京和外相と電話会談し、

・徴用をめぐる韓国最高裁の判決は、日韓関係の土台を崩すもので、受け入れられない。

・韓国側が日本企業の資産の差し押さえに踏み切れば、日韓関係は修復不能となる。

との懸念を伝えたが、韓国外務省によると、康外相は河野外相に慎重な対応を求めた。

12日
北朝鮮、ベトナムに非公式謝罪…正男氏暗殺巡り

マレーシアで昨年2月に金正恩委員長の異母兄、金正男が暗殺された事件で、北朝鮮がベトナム人のフォン被告の関与に関連し、非公式に謝罪した。ベトナムの消息筋は「公式的な謝罪では殺害を認めることになるため非公式になった」と説明した。

13日
韓国軍、竹島で軍事訓練…政府が抗議

韓国軍は、竹島(韓国名・独島)の周辺で14日までの予定で定例の軍事訓練を開始した。海軍や空軍、海洋警察が参加する。韓国軍の訓練は毎年2回行われており、今回の実施規模は例年と同じで、駆逐艦や哨戒機、戦闘機が投入された。

菅官房長官は、外交ルートを通じて韓国側に抗議した。

13日
トランプ氏難色、儀式だけの南北鉄道「着手式」

韓国統一省は、韓国と北朝鮮の鉄道を連結する事業の着工式を、北朝鮮内で26日に行うと発表した。北朝鮮に物資を搬入する本格工事は安保理制裁に抵触するため、実際は儀式だけの「着手式」になるという。

トランプ米大統領は、ブエノスアイレスで行われた米韓首脳会談で、制裁の例外措置は認めなかった。米朝の非核化協議の行き詰まりによって南北の経済協力事業も進まない状況が改めて浮き彫りになった。

14日
北の「瀬取り」巧妙手法、制裁監視網かいくぐる

NBCニュースは、北朝鮮が密輸取引「瀬取り」の手法を巧妙化させていることなどを指摘した米軍の最高機密報告書の内容を報じた。

北朝鮮は、遠く離れた海域や他国の領海内での密輸取引、発見されにくい小型船舶の利用などによって国連制裁の監視網をかいくぐり、軍事活動に不可欠な石油を獲得していると警告した。

17日
正恩氏「一歩も譲歩しない」非核化で米けん制か

朝鮮中央通信によると、金正恩委員長は、父・金正日総書記の死去に合わせて錦繍山太陽宮殿を訪れ、「一歩の譲歩もなく総書記の構想と念願を最後まで実現するために力強く戦っていこう」と呼びかけ、経済制裁の解除に応じない米国に譲歩しない考えを示した。

一方、北朝鮮外務省の米国研究所は16日、正恩氏の側近の崔竜海党副委員長らが新たに米国の制裁対象に指定されたことで、「非核化への道が永遠に行き詰まる」と米国をけん制した。しかし、トランプ氏個人の批判は避けた。2回目の米朝首脳会談の実現に向けて配慮した。

24日
北は拷問に責任、学生死亡で賠償命令…米連邦地裁

北朝鮮に拘束された米国人学生ワームビア氏が昨年6月、解放後に死亡した事件を巡り、ワシントンの連邦地裁は、北朝鮮に約5億100万ドル(約553億円)の支払いを命じた。

北朝鮮は、ワームビア氏が、ボツリヌス菌の中毒で体調を崩し、睡眠薬を服用後に昏睡状態になったと説明しており、支払いに応じる可能性は極めて低い。

25日
竹島上陸の韓国議員への質問状、未回答で返送

「日本の領土を守るため行動する議員連盟」会長の新藤義孝元総務相は、10月に島根県・竹島に上陸した韓国国会議員に送った公開質問状が、未回答のまま送り返されてきたと公表した。質問状は、竹島を韓国領だと主張する根拠の説明を求めていた。11月9日に議員13人に郵送したが、同26日に12通が開封の上、まとめて返送されてきたという。

30日
北、ミサイル開発継続
今月上旬に電波信号実験

北朝鮮は、ICBMの発射中止を宣言した後も開発を継続し、12月上旬に電波信号の発射実験を行っていた。北朝鮮が行ったのは、ミサイル弾頭部分から発信される「テレメトリー」と呼ばれる電波信号の発射実験。弾道ミサイル発射の際、ミサイルの角度や位置、速度などのデータを地上で観測する上で不可欠であり、ミサイル発射の前兆を示す重要情報とされる。

日韓、火器管制レーダー照射問題

20日〜22日
韓国の駆逐艦、海自機に警告なくレーダー照射

20日午後3時頃 能登半島沖の日本海のEEZ内で警戒監視活動を行っていた海上自衛隊のP1哨戒機が、韓国海軍の駆逐艦から射撃目標を捉える火器管制レーダーの照射を受けた。照射は武器使用に準ずる行為とされており、日本政府は外交ルートで韓国政府に強く抗議した。


21日夜 韓国国防省は「誤解が生じないよう、日本側に十分に説明する」と声明を発表した。


22日 朝鮮日報は、当局の説明として、駆逐艦が北朝鮮の遭難漁船を捜索するために火器管制用レーダーを稼働させた際に、哨戒機がその半径に偶然入ってきたとし、「哨戒機を狙う意図はなかった」もので、韓日のEEZの中間水域であり「日本の反応は度を越している」と報じた。


22日 防衛省は、北朝鮮船捜索のためだったとする韓国側の報道に疑問を呈し、改めて書面で「慎重かつ詳細な分析を行い照射が火器管制レーダーによるものと判断した」と強調、火器管制レーダーは攻撃目標の精密な方位・距離の測定に使用するもので、遭難船捜索なら水上捜索レーダーが適当だと主張した。

22日
韓国艦の火器レーダー照射、数分間に複数回=意図的か、外務省局長抗議へ

海自機は、韓国駆逐艦から火器管制レーダーの照射を数分間にわたり複数回受けたと、日本政府関係者が明らかにした。防衛省は、韓国側の「哨戒機を追跡する目的でレーダーを運用した事実はない」との主張に反論する文書を発表。防衛省内では「故意だと疑わざるを得ない」との声も出ている。

23日15:40
レーダー照射で対応要求=河野外相

河野外相は、火器管制レーダー照射問題について、「日韓関係を前向きに進めるため、政府一丸となった対応を(韓国側に)お願いしたい」と記者団に語り、急速に日韓関係が悪化する中、暗に文在寅大統領の指導力発揮を求めた。

23日22:20
「日本の哨戒機が威嚇飛行」 韓国軍関係者が反論

火器管制レーダー照射問題で、韓国の聯合ニュースは、「日本の哨戒機は我々の艦艇が捜索救助作戦を開始したずっと後に接近し、我々の艦艇の上を飛行するなど、むしろ(日本側が)威嚇的だった」とする韓国軍関係者の話を伝えた。

韓国軍筋の話

24日
日韓、レーダー照射巡り応酬 ソウルで外務省局長会談

外務省の金杉アジア大洋州局長が、韓国外務省で金容吉・東北アジア局長と会談した。火器管制レーダー照射問題で、金杉氏は韓国に遺憾の意を伝え再発防止を求めた。

韓国外務省当局者は、韓国も日本の対応に不満を伝えたと表明、双方の応酬となった。

24日
韓国が一転「レーダー照射せず」 日韓主張 真っ向対立

火器管制レーダー照射問題で、韓国側は一転、「照射していない」と反論、日韓の主張が真っ向から対立している。韓国国防省は、「日本の哨戒機を追跡しようとした事実はない」としている。

韓国側の主張の変化

24日
レーダー照射、韓国紙「この程度で非難とは」

火器管制レーダー照射問題で日本政府が韓国に抗議したことについて、韓国紙は社説で「韓国軍が攻撃行為をしたかのように主張するのは行き過ぎだ」(京郷新聞)などと日本を批判した。

日本側の抗議を非難する韓国紙の論調

25日
駆逐艦の上空飛んでいない」韓国レーダー照射で防衛省が再反論

防衛省は、韓国国防省が、駆逐艦の上空を哨戒機が飛行したと主張したことについて「駆逐艦から一定の高度と距離をとって飛行しており、駆逐艦の上空を低空で飛行した事実はない」とする反論文を発表した。

防衛省はまた、照射の理由を問う哨戒機の無線に応答しなかったのは「通信強度があまりにも微弱だった」と韓国側が説明していることに対し、「国際VHFと緊急周波数の計三つの周波数を用いて英語で計3回呼びかけ、確認を試みた」と指摘した。

韓国側が火器管制レーダーを向けたことを否定していることに関しても、電波の周波数帯などを解析した結果「一定時間継続して複数回照射されたことを確認している」と強調した。

26日
韓国側否定に、照射の事実の公表どこまで−長期化懸念も・防衛省

火器管制レーダー照射問題では、抗議する防衛省と、照射していないとする韓国側の主張は平行線のままだ。しかし、P1は照射された電波を収集・記録しており、同省幹部は「困るのは韓国側になる」と証拠に自信を示す。ただ、証拠にはP1の監視能力に関わる情報が含まれており、全て公表するわけにはいかない事情もある。

28日
レーダー照射、映像を公表 防衛省

防衛省は、火器管制レーダー照射に関する映像を同省のホームページで公開した。海自のP1哨戒機がレーダーを一定時間続けて複数回照射されたとみられる場面や、駆逐艦側に英語で計3回呼びかけ照射の意図を確認した場面が記録されている。事実関係を巡って主張が対立していため、日本側の証拠を示すことで国内外の理解を得る狙いがある。

公開された映像
 http://www.mod.go.jp/j/press/news/2018/12/28z.html

28日
韓国国防省「事実関係ごまかし」 映像公開に反発

韓国国防省は、防衛省が映像を公開したことを巡り「映像を公開したことに深い憂慮と遺憾を表明する。一方的な内容で事実関係をごまかしている」と反発する声明を発表した。韓国艦の行動は「映像は、一般常識的で客観的な証拠だと見るのは難しい。日本の哨戒機に追跡レーダーを運用していない事実には変わりがない」と重ねて主張した。

29日
レーダー照射問題「日韓泥沼化」 安倍政権が利用と韓国紙報道

韓国紙は、防衛省の動画公開に対する韓国国防省の反発を伝えながら「日韓関係泥沼化」「感情的対立に拡大」などと報じた。日本の対応については「安倍政権が支持率回復のために問題を利用しているのでは」との分析も出ている。

韓国、与野党の論評


inserted by FC2 system inserted by FC2 system